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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第84話:徐々に壊れていく
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しいのよ」
まだ事態は終息していない。何時フィーネが再びノイズを召喚して騒動を起こすか分からないのだ。そんな状況で響を放置すれば、何かあった時に彼女なら迷わず力を使ってしまう。それが己の命を縮める事と分かっていてもだ。彼女の性格を理解している弦十郎達にはそれが手に取るように分かった。
本当であれば監視の為のスタッフを響の周りに付けるべきなのだろうが、残念な事にノイズや魔法使いと戦う力を持たないスタッフでは意味がない。
有力なのは響と共にリディアンに通う装者である翼やクリス。だが彼女達は学生であるにも拘らず戦いを任せてしまっていると言う負い目が弦十郎達にはあった。その彼女達に響の監視として四六時中神経を尖らせてもらうのは忍びない。
その点、颯人であれば――言っては何だが――普段暇している上に人知れず誰かを監視する手段を持つ上に、瞬時に移動する手段もある。この手の任務には最適だった。
「オーケー、任された。響ちゃんの事は任せてくれ」
「すまないな、颯人君」
***
と言う訳で颯人は響の監視任務に就いていた。と言っても表立って動くと流石に怪しまれるので、監視そのものは使い魔達の仕事で颯人本人は発令所で控えている。
今の所響の周りで騒動は起こっていない。その代わりと言っては何だが、颯人はあるものを見つけてしまった。
ウェル博士である。やつれてはいるが、その目には狂気が宿っていた。あれを放置するのは危険だ。
「おっちゃん、ちょっと面倒なもん見付けちまった」
「面倒なもの?」
「ウェル博士。あの戦いの後逃げ出してそのまま逸れたらしい。このままだと何仕出かすか分かんねぇから、こっちから先に言って仕掛けてくるわ」
〈テレポート、プリーズ〉
弦十郎の返事も聞かず魔法で転移する颯人。場所はウェル博士の目の前だ。
突然目の前に颯人が姿を現したので、ウェル博士は驚愕のあまり腰を抜かした。
「よっ! ウェル博士。お元気?」
「お、お前は二課の魔法使い!?」
「明星 颯人。その言い方だと透も含まれちゃうっしょ」
〈バインド、プリーズ〉
話しながら颯人は魔法で早速ウェル博士を拘束した。問答無用の拘束。これで後は連行するだけ――――
「――と、行けば簡単だったんだけどねぇ」
そう呟き背後を振り返った颯人の視線の先には、キャップを被った男性が居た。顔は見えないがあの佇まいと雰囲気は覚えている。ソーサラーだ。キャップを目深に被っているので視線は合わないし顔も殆ど見えないが、闘志だけは伝わってくる。
「そ、ソーサラーですか! 早く僕を助けなさい!」
ウェル博士もあれがソーサラーであると分かったのか、喜びの声を上げる。拘束されていると
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