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幻の旋律
第一話 命題の真偽
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「ええ・・分かってるわ・・でも・・あの人をだます事ができるのかな・・・」
「何言ってるの!百戦百勝の美香が何言ってるの!あんたまさかあの人に惚れたのじゃないでしょうね!」
「いいえ・・だってあの人、凄く頭が切れそうじゃん?恵美の彼氏、菅原君と違ってね・・・」
「確かに私もそう思うわハハハハ」

賢治は、久留米の「ルジョンドル」という行きつけの店で待ち合わせした。賢治は早く到着し、ある中年の男を見て。ニヤニヤしていた。
「予想通り、今日もあの教授来ているな・・おじさん頼りにしてるぜハハハハハハ」
常連客であるこの教授はいつも閉店まで、この店で難しい顔をして新聞を読んでいる。その教授はトレンチコートをはおる渋めの男性である。もちろん賢治とは面識すらない。
彼の少し離れた斜め前の席に座った。
やがて、彼女がやって来た。
「賢治君、会いたかったわ!」
美香は最高の笑顔を振りまいてした。
「どこまでの頭の悪い女だぜ・・・ハハハハ」
「俺もだよ!」
賢治は作り笑いをした。
「さて、注文するか・・・」
しばらく会話を弾ませ、改めて言った。
「ねえ、・・・俺はずっと君の事をずっと考えていた・・俺と付き合ってほしい・・」
「え!突然どうしたの!嬉しいわ・・私もよ・・」
「付き合ってくれるか・・ありがとう・・今日は記念日だ!給料も入ったし何か欲しい物ある?・・・・」
「え・・嬉しい!でもいいよ、無理しないで・・・」
「何処でだい?葉山ビルの8階で買うよ!」
賢治は無表情で言った。
「え!・・・」
美香は焦った。
「あそこは偽物を売っている。全く興味深い組織だぜハハハハ」
「・・・・・」
「君の正体を分かっている。そのビルについても調べたぜ・・俺を騙したな・・」
「いいえ騙すつもりでは・・」
「デート商法だろ!・・・そこを見ろ・・」
賢治は、教授を指差した。
「あいつは刑事だ・・お前はすでに張り込まれておる・・」
トレンチコートをはおったまま新聞を読んでいるその姿は、見るからに、刑事の香りがする。
「うそ・・・」
「逮捕だな、詐欺罪で懲役3年てとこか・・」
「ええ・・それだけは・・私ね・・実はね、あなたの事・・・」
「何だ・・」
「俺達に協力しろ!そうすれば見逃してやる・・今、ある犯罪者を追っている。」
賢治は写真を取りだした。
「この男だ・・この男は今日、この店で1人で飲んでいる・・この男に接触し誘惑し恐喝しろ・・金額はいくらでもいい・・お前の利益になる話だろ・・・」
「どうやって・・」
「お前さんの仲間に脅させればいい、いつのも手口だろ!今日も外に仲間もいるだろ?」
「・・・・」
「分かったわ・・・」
「では今すぐ行け!」
美香は店を出て行った。その後ろ姿は何だか悲しげな雰囲気であったが
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