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幻の旋律
第一話 命題の真偽
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雨が降っている。決して、これは「甘露の法雨」ではない・・・・
男は、昇降口から外へ出た。
傘もささずに、その男は、歩いて行った。
片手には、盗聴録音機器を握っているが、それを再生した。
校長と、ある教員とのやり取りだ・・

「あの男は、本校には置いとけない・・うちの評判もガタ落ちだから・・・」
「そうですね・・・」
「でも、首には出来ないのだよ・・」
「では、自ら去ってもらいましょう・・だから、奴が今まで築いた地位から転落させたのですよね・・・
「ああ、そうだ・・・」

雨は容赦なく激しさを増すばかりだ・・・

「俺の上昇人生、今じゃ転落中だぜ・・
お前とは同期で、お互い夢を語ったものだ・・
松本・・俺はお前を許さない・・」

「彼は、教員不適格ですよ・・奴のクラスは今じゃ崩壊中です。
とにかく保護者からのクレーがひどすぎる!担任を変えろと・・」
「それは、教員不適格だ・・でも、なぜ急に!」
「奴のあの秘密を保護者に流しました・・」

「確かにそうかもな・・でも、俺なりに生徒と向き合ってきたつもりだ・・」
「職員も、俺に対し白い目で見ている・・俺の生い立ちを否定してるのか・・・」

やがて、雷鳴がなり響く・・

「あいつが退職するのも時間の問題だな・・
「ありがとう・・君の調査のおかげだよ・・お礼に、新居を建設させるよ・・」

「俺にも、怒りという感情があったのか・・・」
「親父・・勘違いしないでくれ・・・
俺はあんたを恨んでる訳ではない・・・」

雷鳴が激しさを増していく・・

「ほら・・この空も起こってるぜ・・・」

3年前、時空高校に、ある男が赴任してきた。その男の名は、深谷賢治。また同時に大手ゼネコン出身の松本博之も同時に赴任、彼はゼネコン時代の闇の世界との付き合いがあるされていた。とにかく、社交性の富んだ人物であり、やがて校長に最も近い人物となる。その荒れた職員間は二人の男によって、当時若手教員を中心として学校の活力となった。二人は出世して行くのだが、やがて賢治は松本に恨まれる。賢治は、去年から新一年の担任となり、感情表現力に乏しく、大変癖のある性格を持っていたが、彼なりの努力によりクラスはやがて、団結していった。しかし、今年2年次の春、ある秘密を原因に、信頼は急降下した。そして、すぐにクラスは崩壊したのだ。
クラスに対し再建不可能と判断した賢治は生徒と深く向き合うことをやめた。すなわち、生徒との距離を置こうと決めたのだ。そうした方が自分の時間も持て、楽だったからである。賢治は普通の感覚の持ち主ではなかった。優れた論理性をもち大胆な男である。賢治はこの高校の在職中にある授業をしたことがある。これは、その貴重な授業記録である。

第一話 〜 命題の真偽 〜

「さ
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