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昨日と同じように、着物を着せてもらって、髪の毛はマスタード色の細いリボンで結んで、小さなお花のかんざしを挿してくれた。
「あんまり長居するんじゃあないですよ 朝、旭屋さんのカステラ買って来たから、持ってってね」
とお母さんに言われた。モト君が隣の駅に迎えに来てくれているはず。
僕は、しばらく見とれていた。絢に違いないんだけど、くっきりとした目元、いつもより紅い唇に、僕に妙な欲望が湧いてくるのが自分でもわかった。
「モト君、あけましておめでとうございます 今年も仲良くね」
「うん 見とれたよ」絢の笑顔は相変わらず、可愛い。
僕は、絢が下げてきた紙袋を持ってやると、絢は腕を組んできた。
「ちょとなぁ」とほどくと
「なんでー 嫌なの」
「うん 近所の手前 見られるとなぁー」
「ふん」と言って、そっぽ向いていた。
家に着くと、玄関の前で、絢は白いショールをたたんでいた。
「おばさま お久しぶりです あけましておめでとうございます」
「まぁ 絢ちゃん 小学校以来かしら、大きくなったわね すっかり、娘さんだよね」
「これ 母から 御年賀です」と袋から包まれた箱を差し出していた。
リビングに連れて行くと、父と兄がチビチビやっていたが、絢を紹介すると、兄が
「えぇー こんなに美人だっけ あの控えめな子が あの時も、可愛かったけど、こんなに変わったの・・ モトシ、お前、いいなぁー」と、調子いいこと言ってきた。
「絢ちゃん、酔っ払い相手だから、気楽にしてね だけど、女の子はいいわね いろいろ着飾れて こんなに綺麗なら、お母さんも楽しみでしょうね うちは、むさくるしいの野郎ばっかだから張り合い無くて 絢ちゃんが居るだけで、明るくなるわ」
「そうだよな 朝から、こんなに、はしゃいでいるお母さんを見たのは久しぶりだよ」と父がボソッと言っていた。
「でも、うちじゃぁ 母は小さい頃から、兄ばっかり気遣って、私のことなんか、ほったらかしなんですよ」と、絢もボソッと言っていたが、
「それはね 絢ちゃんが芯が強いってわかってたからよ それに、お商売しているから、どうしても長男には気を遣うわよ あなたが我が家に通うようになった時、あなたのお母さん、すごく気遣って あなたが大学で出て行った時も、心配で、しばらく寝れなかったそうよ 女の子って、こんなに心配しなきゃなんないんですねって言ってたわよ」
「そうなんですか おばさまにそんなこと言ってたんだ」
夕方近くになって、今日は早いこと帰んなきゃと絢が言ってきたけど、帰る間際に、僕を引っ張って行って
「モト君 ウチ、オシッコ」と小声で言ってきた
「ええー 独りで出来るんか」
「わから
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