暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga26二人の王〜Rusylion & Alice〜
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†††Sideリインフォース・アインス†††
私にとってルシルは主はやてと同等以上の恩人だ。それは、この世界線とは違う次元世界でもそうだった。テスタメント事件の折、私を“エインヘリヤル”から独立させ、再び主はやて達と共に過ごせるようにしてくれた。それがどれだけ私の心を救ってくれたことか。
今回もそうだ。オーディンとして活動していたルシルは、私やシグナム達に大きな幸せをくれた。道具ではなく家族として接してくれて、シュリエルリートという名を貰い、私たちに恋を、愛を教えてくれた。そして私を再び“エインヘリヤル”から独立させてくれて、みなと共に過ごせている。私の全てを差し出しても返せないほどの恩。しかし私は今、恩を仇で返そうとしている。
(心情的に言えば、私はルシルの味方をしてやりたかったが・・・)
“アンスール”の魔術師としての29年、“界律の守護神テスタメント”としてのおよそ2万年。その最果てが今日、これから起きる戦闘だ。誰だって同情し、手を貸したいと思うだろう。それを最も強く思っているのはおそらく私だろう。しかし、主はやて達を傷つけたこと、彼にこれ以上の罪を重ねさせたくないことを天秤に、私は敵として立ちはだかることを決めた。
(最初から手伝ってほしいと言ってくれていれば、こうはならなかったはずだぞ、ルシル、アイリ・・・)
ルシル達の方から敵対した事実は変わらない。だから、私たちは救いたいという思いを胸に抱いたままでルシルを止める。そして真っ当な形で協力しよう。
「あのさ、さっきからルシルとアイリの背中は見えてんのに追い付かねぇのはなんでだ?」
「確かに。我々が全力で走っているのに対し、ルシルとアイリは歩いているように見える」
ヴィータとシグナムの指摘に、先頭を走るシャルが「そもそもここの廊下、こんな長かったっけ?」と首を傾げた。本局内にあるここ管理局の本部ビルは確かに広いが、すでに800mほどを真っ直ぐ走っている。ルシルの背中に集中していた所為か、それを疑問にすら思わなかった。
「これはアカンな・・・。トラップに引っ掛かってるかもしれへん」
――幻惑の乱景――
主はやてがそう漏らした直後、「魔力反応!」を感知した。直後、目の前に“T.C.”の幹部――ヨツンヘイム連合の王たち、レオン、フォード、プリムスが現れた。私たちは急制動を掛け、主はやてとシャルの「エンゲージ!」の言葉を受け、臨戦態勢に入った。
「ここに来てレオン達エインヘリヤルの召喚なんて、シャレになんねぇんだけど!」
『です!』
「最悪、主はやて、アインス、シャルだけでも先に行かせるぞ」
『おうよ!』
「魔術は使えないけど、私だって・・・!」
「ヴォルフ・ヤークト!」
「ナハト・リヒト!」
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