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Fate/WizarDragonknight
救星主
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手は考えられなかった。
 バングレイが兵士として生み出した未来に、彼女自身の記憶があるのかさえも分からない。

___よろずの愛を学べ___

「……あ……」

 ただ、人が胸の内にある情熱を止められないように、響の胸に宿ったその歌を、止められなかった。

___朝な夕なに声高く___

 未来の手が、彼女の肩にかかる響の手に重なる。
 それに対して響は、彼女の肩を掴む力を緩めた。
 未来の手と響の手は、それぞれ手のひらを重ね合わせ、そのまま互いの手を握り締めた。

___調べとともに強く生きよ___

 もうすぐでムーの地表に着く。今からガングニールを起動したところで間に合わない。
 だが、それでも響は唄い続ける。
 少しずつ、未来の体が紫色に輝きだす。

___例え涙をしても___

 少しずつ、未来の目に光が戻る。それは、響にも見覚えのある、陽だまりの目だった。

___誉れ胸を張る乙女よ___

 そして。

___信ず夢を唱にして___

 未来の口の動きが、響の物と合わさる。

「……未来?」
「響」

 その声は、記憶の再現などではない。
 紫の光とともに、ムーの地表へ降り立ったのは、紛れもない。
 響の陽だまりの、笑顔だった。

「……お帰り。未来(私の、最高の陽だまり)
「ただいま。(私のお日様)

 響は未来をまた抱き寄せる。そのままムー大陸に自分が先に落下するように背中を回し、小声でガングニールの詠唱を行った。

「ありがとう……未来。ありがとう……ガングニール」

 ガングニールの黄色の輝きが、響を守るように、暖かく、優しく包み込んでいった。



 バングレイが死んだ。
 その事実を見て、ハルトは目を見開く。
 首と右腕がなくなったバングレイの体を、エンジェルが蹴り払う。
 もはや力のない青い体は、コロコロと祭壇の端から、ムーの奈落へ落ちていった。

「お前……何で……!?」

 憎い敵。バングレイはその存在で間違いない。だが、それが彼の味方であるエンジェルにいとも簡単に切り捨てられたことは、ハルトにとっても衝撃的だった。

「仲間だったんじゃないのか……? どうして」
「言っただろ? 私一人でムーを支配した方が効率的だと」

 エンジェルはバングレイの右手を自らの右手に重ねる。すると、バングレイの右手に刻まれていた令呪が、流れる水のようにエンジェルの腕に移り変わっていく。

「屈辱だったぞ……あのような下賤な者の配下になるのはな……!」
「屈辱って……エンジェル……お前……っ!」

 ハルトの言葉を鼻で笑い、エンジェルはバングレイの右腕を投げ捨てた。

「エンジェル……もはやそのよう
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