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やって続けて成長
第二章

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 ちなみをバイオリン教室に連れて行った、そこにいた先生は秋月美代子といってもうすっかり白くなった髪の毛を丁寧にまとめていた。
 そして品のある赤い縁の眼鏡をかけていてやはり顔も品がある。和服を着ているのがいささかバイオリンの先生という感じがしなかった。
 だが美代子はすぐにだった。
 ちなみにバイオリンのことを丁寧に教えだした、それだけでなく。
 礼儀作法等両親も教えているが世の中で暮らしていく為に必要なことも教えていった、するとだった。
 ちなみはまるで砂に水を注ぐ様に美代子が教えたことを吸収していってすくすくと成長していった。当然バイオリンの技術もで。
 かなりのものになっていた、それでだった。
 両親も小学五年生でコンクールに優勝した彼女にこう言った。
「よくやったな」
「頑張ったわね」
「ええ、先生に教えてもらったから」
 それでとだ、ちなみは両親に答えた。はっきりとした目で姉と同じ上方の顔で言った。見れば顔立ちも姉に似てきている。
「だから出来たのよ」
「先生にか」
「教えてもらったからなの」
「だってね」
 こうも言うのだった。
「私が優勝出来たのはバイオリンをしているからでしょ」
「ああ、それはな」
「そうだけれどね」
「バイオリンをしていなかったら」
 そもそもというのだ。
「コンクールにも出ていないし優勝だってね」
「出来ないか」
「そう言うのね」
「ええ、そしてね」
 ちなみはさらに言った。
「もう一つあるわ」
「もう一つ?」
「もう一つっていうと」
「バイオリンを先生に教わらなかったら」
 美代子にというのだ。
「それもじっくりね、そうしてもらわなかったら」
「優勝出来なかったか」
「そう言うのね」
「何かをしないと」
 ちなみはこうも言った。
「何にもなれないってね」
「先生に言われたか」
「そうなのね」
「うん、バイオリンもそうで」
 それでというのだ。
「他のこともね」
「それね」
 沙織も言ってきた。
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