第五章
[8]前話
「お父様のことは考えて」
「それでか」
「贈りものをするか」
「そうよ、こうしたことはね」
しっかりと、というのだ。
「考えているわ、それで貴方達が賭けに負けて出してくれたものだけれど」
「遠慮なく飲め」
まずロキが言った、蜜酒が入った壺をフライヤに出して。
「美味いぞ」
「食え」
トールは干し肉を出した、巨大なそれを。
「これはかなりの味だ」
「わかったわ、けれど私一人では飲みきれないし食べきれないわね」
フライヤは二人が差し出した酒と肉を見ながら微笑んで述べた。
「だから三人でどうかしら」
「三人?まさかと思うが」
「俺達もか」
「そうよ、三人いればね」
それでというのだ。
「これだけのものでも食べきれるでしょ」
「それでか」
「俺達でか」
「楽しみましょう、折角だし」
三人いるからだというのだ。
「この場で宴にしましょう」
「お前がそう言うならな」
「俺達はいいが」
トールとロキはフライヤの言葉を受けて答えた。
「賭けに負けた贈りものでだ」
「お前のものだが」
「私のものになったらどうしてもいいわね」
これがフライヤの返事だった。
「だから三人で食べましょう」
「そうか、ではな」
「三人で飲んで食うか」
「そうしましょう」
こう言ってだった、フライヤは。
三人分の杯と皿を出して肉を切るナイフも出してだった。
三人で蜜酒と干し肉を楽しんだ、これでもかとあったその二つを完全に腹に入れた時三人共満腹であった。フライヤはその時にまたニョルズに贈りものをすると言った。二人の神はその彼女にまた親孝行しろと笑って返し今度の駆けでは負けないとも言った。
夢の雫 完
2021・1・13
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