第四章
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「あの杯は一体何だ」
「ニョルズに渡すそれだな」
「そうだ、それは一体何だ」
ロキに首を傾げさせつつ話した。
「あれはな」
「俺にもわからない」
ロキも首を傾げさせた。
「そう言われるとな」
「そうだな、ではここはだ」
「様子を見るか」
「それがいいな」
二人でこう話してだった。
トールもロキも実の父であるニョルズに贈りものをするフライヤを注視した、すると女神は父神に言った。
「この杯の中の酒をお飲み下さい」
「これをか」
「はい、飲まれれば」
そうすればというのだ。
「安眠しよい夢を見られる様になります」
「そうなるのか」
「お父様は近頃悪夢にうなされていると聞きました」
「うむ、どうもな」
ニョルズは娘のその言葉に応えて話した。
「近頃な」
「そう聞きましたので」
「だからか」
「安眠とです」
「よい夢を見られる酒をか」
「造りそして」
そのうえでというのだ。
「今日です」
「祭りの時にか」
「贈らせてもらおうと考えていまして」
「この度か」
「贈らせて頂きました、是非お飲み下さい」
その酒をというのだ。
「そしてこれからは」
「よい夢をか」
「ご覧になって下さい」
「わかった、ではな」
父神は娘の言葉ににこりと微笑んでだった、そのうえで酒を飲み干した。そのうえで娘に対して心から感謝の意を述べた。
以後ニョルズは夜はしっかりと寝てそのうえでよい夢を見られる様になった。全てはフライヤの贈りものの為であった。
そして賭けに負けたトールとロキはそれぞれフライヤに贈りものをした、そのうえで女神に対して彼女の館で言った。
「全く、何かと思えば」
「父親への贈りものだったなんてな」
「俺は思いもしなかったぞ」
「俺もだ」
「お前は常に色恋沙汰だからな」
「そのお前が父親にとはな」
「それは貴方達の先入観よ。私も娘だから」
だからだとだ、フライヤは二人に笑って返した。
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