第一章
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美女のコンプレックス
フレデリカ=ヴァン=バルクフェルトは金髪碧眼でその見事な金髪を腰のところまで伸ばしている。彫刻の様な目鼻立ちであり母国オランダでは代々軍人それも王室の傍に仕えていた由緒正しいとされる血筋の出だ。父はその家の出で母は日本人でかつては旗本の家であった。軍人の家だが父に叔父達そして従兄弟達が軍人になったので彼女は法学を学べと一族の棟梁である祖父に言われてそうしているのだ。
今はイタリアのボローニャ大学で法学を学んでいる、文字通りの文武両道でありかつ気品も教養も兼ね備えている。
だがその彼女がある日大学で出来た同じ学部の友人であり下宿先で大学で知り合ってから共にとなりルームメイトにもなっているジュリエッタ=マリオッティに対してオランダ訛りのイタリア語で話した。
「どうも私は自信がないのよ」
「自信がない?嘘でしょ」
すぐにだ。ジュリエッタはフレデリカに言葉を返した。縮れた黒髪は後ろで束ねていてよく日に焼けた肌で切れ長の長い睫毛の黒い目を持っている。背はフレデリカより十五センチ程低く一六〇程であるが胸は彼女と同じ位豊かだ。全体的に艶やかな感じがする。
「文武両道で気品も教養もあるのに」
「そう言われていてもなのよ」
「あの、貴女はお家もね」
ジュリエッタは今度は彼女のそちらのことを話した。
「オランダではね」
「由緒正しいっていうのね」
「そうしたお家でしょ」
「そういうものじゃなくて」
個人の資質や家柄でなくというのだ。
「どうしてもね」
「自信がないの」
「そうなの」
ジュリエッタに厳しい顔で話した、大学のキャンバスの中で共にカプチーノを飲みながら話している。
「何をするにもね」
「何をしてもそつなくなのに」
「どうしても自信が持てないのよ」
自分ではというのだ。
「それがね」
「となると」
どうしてかとだ、ジュリエッタは考えて述べた。
「コンプレックスがあるのね」
「ええ」
その通りだとだ、フレデリカは答えた。
「どうしてもね」
「コンプレックスと言われても」
ここでだ、ジュリエッタは。
フレデリカを頭の天辺から足のつま先まで見てだ、こう言った。
「その外見で何処が?」
「そう思うのね」
「ええ、奇麗な金髪と青い目で」
まずはその二つから話した。
「そして白い透き通ったお肌に彫刻みたいな顔立ちとモデル並のスタイルで」
「ええ、けれどね」
「コンプレックスがあるの」
「それでのせいで」
どうしてもというのだ。
「私は何をするにもね」
「自信がないのね」
「誰にもないのに私にだけはあるものがあるのよ」
「貴女にだけなの」
「そうなの」
「それは何かしら」
「誰にも言えないことよ」
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