第二章
[8]前話
「もう忘れることよ」
「それしかないの」
「そう、お酒飲むかファミコンするか」
「じゃあ家帰ってファミコンするわ」
私が憂さ晴らしに選んだのはそちらだった。
「そうするわ」
「ファミコンね」
「それしてね」
そしてだ。
「もうね」
「忘れるのね」
「そうするわ、ファミスタか燃えプロやって」
どっちも持っている、家でよくやっている。
「それでね」
「憂さ晴らしね」
「どっちも阪神強いから」
嬉しいことに優勝の時のままだ。
「家に帰ったら」
「ファミコンするのね」
「お風呂に入ってから一試合してから寝るわ」
晩ご飯も食べてだ。
「そうしてから寝るわ」
「それがいいわ、現実の悪夢はね」
目の前のそれはとだ、友達も言ってきた。
「お酒を飲んで忘れるか」
「ファミコンで強い阪神を再現して」
「忘れることよ」
「そうするわ、来年ね」
私は友達に気を取り直して返した。
「来年は阪神も頑張るから」
「今年みたいにはならない」
「そうなるからね」
「だからよね」
「今年はゲームで悪夢を忘れていい夢見るわ」
こう言ってそう言ってだった。
私は友達と一緒に神宮球場を後にした、そしてお風呂と晩ご飯の後でファミスタで一試合して二年前の様に快勝した、それで来年こそはと思いながら寝た。
この時は悪夢は今年だけだと思った、だが。
結婚して子供が出来てその子供が二人になって十歳になった時にまで悪夢が続くとは思わなかった、長い長い悪夢だった。
星野監督の胴上げを見た時に思わず泣いてしまった、長い悪夢が本当に終わった。昭和から平成になって二十一世紀になってからだった。こんな長い悪夢はもう二度と御免だと思った。しかしそう思って二〇〇五年よりによって日本シリーズで見るとは思わなかった。
NIGHTMARE悪夢 完
2020・12・2
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ