第一章
[2]次話
NIGHTMARE悪夢
これこそまさに悪夢だった。
私は神宮球場の三塁側でがっくりと肩を落として一緒に観戦していた友達に言った。
「あの、二年前ね」
「阪神日本一になったわね」
友達も私に言ってきた、三塁側はもう阿鼻叫喚だった。
「そうだったわね」
「それがね」
「たった二年でね」
「この有様なんて」
「いや、まずね」
友達は私にさらに言ってきた。
「阪神今年はね」
「最下位よね」
「そうなるわよ」
絶対にというのだ。
「これは」
「これで全球団に負け越し決定だから」
「どう贔屓目に見ても負け越してるから」
シーズン辺りでだ。
「しかもあの勝率だと」
「最下位ね」
「それが間違いないから」
それでというのだ。
「これは」
「何でこうなったの?」
私は現実が信じられなかった、試合帰りの観戦が終わって言った。職場から今日こそはと思って字山手線で来たらこの通りだ。
「阪神は」
「二年前日本一だったのに」
「そう、選手の顔触れは殆ど同じで」
「川藤さんいないけれど」
「けれど田尾さんもいるし投手陣も」
そちらもだ。
「逆に若手が出て来て山本さん復帰して」
「よくなってる筈ね」
「けれどそれがよ」
その筈なのにだ。
「この通りよ、正直悪夢よ」
「今年の阪神は」
「もうね、どうしたものかしら」
「どうしたってどうしようもないでしょ」
友達は私に至ってクールに返した。
「かく言う私のチームはずっと優勝してないからね」
「大洋は」
「そう、何度も最下位になってるし」
それでというのだ。
「あんたの言う悪夢もね」
「味わってきているのね」
「気持ちはわかるわ、こうした時はね」
応援しているチームがもう有り得ないまでに弱くなっていて最下位が確実な時はというのだ。
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