第二章
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「今があるんだよ」
「ずっと打線弱かったのにな」
「それが一変したよな」
「やっぱり一人いると違うな」
「それでな」
「そうだよ、それでな」
スラッガーが一人加入してというのだ。
「あの強さだからな」
「凄いよな」
「凄い人が一人いると違うな」
「それだけでな」
「本当にな」
「それを実感してるよ」
満面の笑顔でのことだった。
「僕も」
「顔に出てるよ」
「もうな」
「本当に嬉しそうだな」
「佐藤さんの加入が」
「佐藤輝明、阪神の救世主だよ」
こうもだ、寿は言った。
「あの人が背番号八を二十二や三十一まで上げてくれるよ」
「二十二は田淵さん、三十一は掛布さんだよな」
「お二人のレベルまでか」
「それは凄いな」
「かなり言うな」
「まだルーキーなのに」
「だってあそこまで打つんだよ」
それ故にというのだ。
「僕だって思うよ、ずっと打たなかったのに」
「それでもか」
「佐藤さんが打ってくれたので」
「それでか」
「そこまで言うんだな」
「言うよ、スラッガーが一人いてくれたら」
実感しての言葉だった。
「本当に違うね」
「巨人も強いけれど」
「それでもか」
「その巨人にも勝てるんだな」
「今年は」
「実際去年まで負けまくっていたけれど」
それがというのだ、言うまでもなく寿にとってはこれ以上はないまでに忌ま忌ましく腹立たしいことであった。
「これからは違うよ」
「今のところ有利だしな」
「それじゃあ今年は巨人にも勝って」
「そしてリーグ優勝」
「そうなるんだな」
「絶対にそうなるよ、今から楽しみだよ」
阪神の優勝、それがとだ。
寿は学校でも語った。彼は今絶好調だった。
それで家でもデイリーや月刊タイガースを満面の笑みで読んでいるが。
リビングで月刊カープやベースボールマガジンを読んでカープの戦略を研究し練っている妹に対して言った。
「二位になってくれよ」
「今から逆転優勝してやるわ」
千佳は満面の笑みの兄を睨んで答えた。
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