”エガオノキミへ”
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友奈の拳と、美森の銃。
かつての世界で交わることがなかったのは、仲間たちが代わりに美森と戦ったからに他ならない。
今、この世界に、あの時の仲間たちはいない。
だから今。
「東郷さあああああああああん!」
「友奈ちゃああああああああん!」
美森と美森の間に立つ者はいない。
美森の銃撃を拳で弾きながら、友奈は接近する。
「……っ!」
友奈は唇を噛みながら、友奈へ拳を放つ。
だが、美森は長い銃でその軌道を反らす。非常に頑丈な作りで長い銃身を誇るそれを、彼女は近距離では棒型の武器として使用しており、友奈に対抗する。
「っ!」
固い銃身に防がれ、友奈は攻めあぐねる。
しかも、反動でのけ反った瞬間を狙って、美森は銃撃で狙ってくる。
リーチが長い分、友奈は徐々に追い詰められていった。
「くうっ!」
「友奈ちゃん! これは、私の想いの強さ! 友奈ちゃんを、これ以上戦わせない!」
友奈が防いだ長い銃。美森はそれをテコのように動かし、銃口を友奈の顔に向ける。
「!」
友奈が咄嗟に屈む。一瞬でも遅ければ、額に穴が開いていた。
「どうして友奈ちゃんは、この世界でも戦わなくちゃいけないの!? この世界は、私達の世界じゃないじゃない! 神樹様の世界でも、私がいない世界でもいい、友奈ちゃんは、平和に暮らしてよ! どうして自分で自分を苦しめる生き方をするの!?」
棒術のように日本の長銃を振り回しながら、発砲を続ける美森。友奈は手のひらで受け流し、ステップで少しずつ離れていく。
「これが私の生き方だよ、東郷さん! 例え何回生まれ変わっても、例えどれだけ苦しんでも、私は生きている人みんなを守る! そのために私は生きているんだよ!」
刹那、避け切れない銃弾が飛んできた。
友奈は迷わず手を伸ばし、銃弾を掴む。右腕に走った痛みとともに、銃弾が手のひらに収まった。
「勇者だから? 御役目だから!? そんなのいらない! 友奈ちゃんが苦しむ必要なんてない! 友奈ちゃんが戦い続けるなら、私も何回だって、勇者システムを壊してやる!」
美森はそう言いながら、体を回転させる。乱発射されたそれは、友奈ごとムー大陸の遺跡を射撃していく。
友奈はたまらず、走りながらそれらを回避。その足元には、次々と銃弾が埋め込まれていく。壁の裏側に隠れたと同時に、壁に無数の弾丸が刻まれる。
「はあ、はあ……」
友奈は息を切らせ、膝を折る。
その時。青い光が、視界の端に発せられた。
「友奈ちゃん……私は、絶対に友奈ちゃんの戦いを終わらせる!」
その美森の姿は、まさに方舟だった。
巨大な白い船が台座となり、その周囲には巨大な砲台が備え付けられている。彼
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