ギリギリ+籠城−作戦=逆転の一手
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イトの消えた虚ろな瞳で俺を見る獰猛な関西弁武将だったが、残念ながら俺の対猛獣スキルは素人のソレを遥かに下回るので対処はできないのであった。後は頼んだぜさんちゃん!
「張遼様。孫瑜様が貴女のことをケモノと申されておりますが」
「首と胴体を効率よく真っ二つにしたろか? うん?」
「ひぃっ! 申し訳ありません姐さん! お慈悲を! お慈悲をぉおおおおおおおおおお!!」
王族に躊躇いもなく刃向けるとか俺どんだけ貫禄ないんだよ! いやまぁ俺が全面的に悪いんですけどね! 仲間ごと全滅させてしまおうとか、首刎ねられても文句は言えないんだけどんね!
「なんや分かってるやないか、じゃあ今から潔く首を差し出してもらおか」
「ちょぉっと待とうか姐さん! 俺は一応水関の重要主語武将的な立ち位置だったはずなんですけどねぇ!?」
「心配あらへん。雹霞の後任はさんちゃんにやってもらうさかい」
「了解しました。ということですので、心置きなく死んでください、孫瑜様」
「ここで見せろや男の意地ぃいいいいいいいいいいいい!!」
「じゃあ大人しく真面目に戦わんかい」
「……はい」
結局男って奴は女には敵わないのか。なんて不憫な生物なんだろう。涙が出ちゃうよ、だって男の子だもん!
だがしかし、やはりこのまま籠城するのも無理があるのではないか。向こうはほぼ無限の兵力を持っている。一番妥当な策としては、ある程度狙撃で敵数を減らしてから攻め入るっていうのだな。
「まぁ、それしかないやろうな。このまま籠城しとっても、その内門を崩されて侵入されてまうし」
「ですね。じゃあまずは油と火矢の用意をしますか。火災でも起こせば少しはマシでしょうし」
「混乱に乗じて殲滅しやすくなるしな。いいで、その作戦でいこか」
「じゃあさんちゃん。弓兵部隊に伝えてくれる? 出来るだけたっぷり油を塗った火矢の準備をするようにさ。連合軍の奴らを炙ってやろう」
「承知しました」
そういうとすぐに走り去っていくさんちゃん。うん、優秀な部下がいると楽でいいね。
ま、弓矢での攻撃が終わった後の白兵戦に向けて、俺は俺で新武器の製作に励んできますかね。
「それじゃあ俺は『アレ』の仕上げに行ってきます」
「おー。できるだけ仰山作ってきてぇな。数は大いに越したことはあらへんしな」
「了解です」
たぶんだけど、この時代では絶対にあり得なかった武器だろう。これさえ使えば少しは戦況がひっくり返るかもしれない。
やれることは全部やってやる。それがたとえ雪蓮達を悲しませることになっても、俺には守らなければいけない人がいるんだから。
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