第三章
[8]前話
「馬は大きくて重い」
「だからなのね」
「重機でないとな」
「助けられない」
「そう思ってだ」
そのうえでというのだ。
「救助隊にも話したが」
「それでトラクターが来て」
「ヘリも来てな」
それでというのだ。
「若しもの為に」
「いざって時はヘリで引き上げるつもりだったのね」
「そうだった、しかしな」
「これで無事ね、けれど」
それでもとだ、妻はここでだった。
満ちてきている海を見てだ、夫に話した。娘もそこにいる。
「まさかね」
「砂浜がぬかるむなんてな」
「思わなかったわね」
夫と娘が応えた。
「まさか」
「そうしたことになっているなんてな」
「ええ、こんなことははじめてよ」
驚きを隠せない言葉だった、難が去っても。
「本当に」
「俺もはじめてだ、ずっとここにいるがな」
「代々よね」
「うちはずっとここで牧場をやっているからな」
「それでもね、こんなことがあるなんて」
「世の中わからないな」
「全くよ」
一家で話した、砂浜は砂であり泥の様になることがあるとはそしてそこに馬がはまってしまうことがあるとは思いも寄らなかったとだ。
だが後で調べるとだ、娘は母に話した。
「日本の佐賀県ってところの海は泥みたいらしいよ」
「そうなの」
「砂浜じゃなくて」
「ああした風になってるのね」
「そうみたいよ」
「じゃあ有り得るのね」
「そうみたい、だからこれからは」
こう母に話した。
「砂浜もそうしたことが有り得る」
「このことを頭に入れて」
「それで嬢場もしていこう」
日課のそれをというのだ。
「さもないとまたああしたことになるから」
「そうね、自然はどんなことでもある」
「ああしたこともね」
「わかったわ、もうあんなことは二度と御免だから」
こう言ってだ、以後ニコールは乗馬は砂浜は避ける様にした、これまでなかったことだがもう二度と遭いたくはないことだったので。
泥みたいになった砂浜 完
2021・5・26
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