芸術は爆発だ
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ナンパ。
男性が見知らぬ女性に対して行う、ひと時をこれから過ごす、これから夜遊びに出かける誘いを行う行為のこと。
これまで、結城友奈はそうした声をかけられたことは皆無ではなかった。もっとも、当時は勇者部の活動を優先していたり、何より親友が友奈に近づく男たちを追い払っていた(車椅子で)ので、発展することはなかった。
だが、それが行われるのは、主に繁華街などの町中である。少なくとも。
ムー大陸のような神秘の古代遺跡で発生するのはまずないはずである。
「へへへ。俺、渋井丸拓男。略してシブタク。付き合ってよ、素敵なおねーさん」
そう言って、サングラスをずらした、出っ歯と無精ひげが特徴の男。
バイクに乗ったまま、友奈に話しかけてきた彼のこの行為は、間違いなくナンパである。
「ええ?」
困った顔で頬をかく友奈。だが、なぜかこのシブタクなる人物は、友奈に「へっへ」と近づい来る。
「いやあ、ちょっと困るかな?」
「そんなこと言わないでよお。いきなりこんなところに来て、俺、ちょっと心細いのぉ」
「いきなり……」
その時、友奈ははっとしてナンパ男シブタクの手を見下ろす。
「んん? これ、カッコイイだろ?」
シブタクはそう言って、右手の黒い紋様___令呪を見せつける。
「男の勲章って奴でさぁ。この前いつの間にか付いていたんだよ。イカスだろ?」
「いつの間にか? もしかして」
友奈はシブタクの令呪が付いた手を掴む。
シブタクは「うおぉ!?」という声を上げたが、それを無視して凝視した。
「サーヴァントはまだいないの!?」
「さ、サバ? 俺サバ嫌いなんだけど」
「……あれ?」
友奈は首を傾げた。
「サーヴァント。ほら、聖杯戦争の」
「ななな、なんだ? 聖杯? 酒でも飲むの? 未成年なのに、ロックだねえ」
シブタクは目を白黒させた。その様子から、本当に知らないのだろうかと疑問を持つ。
「ねえ、この印のこと、何も聞いていないの?」
「聞いてない? おいおい、お嬢ちゃん。勘違いしちゃいけねえなあ。コイツは俺が、漢の中の漢だっつう……」
「監督役! 出てきてくれないかな!?」
「おい無視かよ!?」
シブタクの声を無視しながら声を張り上げると、それは現れた。
『はいはい。全く、君たちは本当にすぐ苦情を入れてくるね』
「うわっ!? なんだこいつ!?」
シブタクのバイクに飛び乗った、白とピンクの小動物。動かない表情をこちらに向けながら、脳内に直接言葉を伝えてくるそれに、友奈は少し驚きながら言った。
「ち、直接会うのは初めて、だよね? えっと……」
友奈は、首を傾げる。
「確か前可奈美ち
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ