"二重のキズナ"
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姫和は、小烏丸を背中に滑らせて可奈美の千鳥を防御。
「どうした可奈美? そんなものか?」
「まさか。まだまだこんなものじゃないよ!」
可奈美はさらに、姫和へ横薙ぎ。
避けた姫和は、再び斜の構えをした。
「私がいた時より、腕を上げたようだな。可奈美」
「当然だよ! ずっと鍛錬してるからね! もしかしたら、姫和ちゃんよりも全然強いと思うよ!」
「……そうか」
姫和はクスリとほほ笑んだ。
そして。
「ならこれからは、お前の知らない私を見せてやろう」
「私が知らない姫和ちゃん?」
その疑問に、姫和は小烏丸を天高く突き上げることで答えた。
すると、彼女を中心に青白い雷光が広がった。
可奈美は思わず目を伏せ、光を避ける。
やがて、ビリビリという音に目を開けると、そこにいた姫和の姿は大きく変わっていた。
「うそ……姫和ちゃん?」
「さあ、行くぞ。可奈美」
雷を纏った姫和は告げた。
全身から放電しながらの彼女の左目は、雷の青白い色で染まり上がっていた。長い髪も後ろ半分は雷と同質となっており、そして何より、小烏丸そのものが雷の形となっていた。
「……っ!」
可奈美は急いで千鳥を構える。
いつもの手慣れた、蜻蛉の構え。それは、今まで数多くの攻撃___これまでは刀使の、最近はそれ以外の___をいなしてきたそれ。だが。
姫和の動きは、可奈美の動体視力を遥かに上回る動きであった。
「っ!」
信じられない、と考えたのは、すでに可奈美が地を転がった後。
すでに姫和は、起き上がった可奈美へ更なる連撃を加えてくる。
背中。右腕。左足。首筋。
次々と雷の刃が、可奈美の写シを刻んでいく。白いオーラの破片が、可奈美の代わりに散っていく。
「うわっ!」
姫和が可奈美の体を正面から突いたのを最後に、写シは剥がれ、可奈美は地面を転がった。
「は、速い……!」
可奈美は立とうとするが、全身の力が痺れて動きが鈍る。
「これって……この力って……!」
「どうした可奈美? 怖気づいたか?」
「……まさか」
可奈美はにいっと笑んだ。
「こんなに強い刀使、他にどこにもいないよ。むしろ、ものすごくワクワクしてきた!」
可奈美は足を直立させ、「はあっ!」の掛け声とともに写シを張る。
「行くよ!」
可奈美は姫和へ剣を振るう。だが、その全ては、姫和には体を少しずらすだけで躱されてしまう。
「これって……!?」
「はあっ!」
驚く可奈美の体に突き刺さる電気を纏った斬撃。足を大きく引きずりながら、可奈美は毒づいた。
「速すぎる……!」
「まだまだ行くぞ」
可奈美は慌てて姫和の動きを凝視し
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