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レーヴァティン
第二百四話 口の形の違いその十二

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「最早な」
「いる意味ないな」
「こうした連中は一人残らずだ」
 それこそというのだ。
「政の場からいなくなるべきだ」
「それでも居座ってるけれどな」
「運動家あがりの奴だのな」
「噛み付くだけの馬鹿とかな」
「男も女もだ」
 そうした政治家はというのだ。
「害だ」
「文字通りのな」
「この世界でもそうした奴はな」
 国益を求めない政治家なぞはというのだ、そうした論外な輩は。
「一人残らずな」
「見付け次第だな」
「排除だ」
「そうしないと駄目だな」
「利を貪るにしてもな」
「それでも国益を出すとな」
「まだいい」
 そうした政治家はというのだ。
「それならな」
「それでも利を貪るだけでな」
「国益を考えない奴はだ」
「政治家、それに官僚にか」
「いたらだ」
「追い出さないとな」
「駄目だ、俺っち達が起きた世界の政治家でも多いが」
 ここで芳直はこうも言った。
「マルティン=ボルマンの様な奴はな」
「ああ、ナチスのか」
「ヒトラーに取り入りだ」
「権力を貪ったんだよな」
「こいつはゲッペルスやゲーリングとは違った」
「ヒムラーともな」
「国の政治に貢献なぞせずだ」
 当時ナチスの副総統だったルドルフ=ヘスの側近になったのを皮切りに持ち前の事務処理能力や財政能力を買われて出世していったのである。
「ヒトラーに取り入りだ」
「権勢を貪ってな」
「ヒトラーに歪んだ情報ばかり送り」
「ナチス崩壊の一因になったな」
「多くの者が危険視していた」
 電撃戦で知られるグーデリアンもその一人だった、彼はその自伝でボルマンを極めて否定的に書いている。ヒトラーにはまだ肯定的な部分もあったがだ。
「だがヒトラーだけはボルマンを重用してだ」
「ナチス=ドイツをどんどん腐らせた」
「そうした奴だった」
「だからボルマンみたいな奴もか」
「その存在に気付けばだ」
 まさにその時点でというのだ。
「排除することだ」
「国の為だな」
「国益を考えない政治家や官僚はです」
 順一はこう言った。
「言うなら信仰心のない宗教家です」
「意味がないな」
「はい、信仰心がなくては」
「宗教家じゃないよな」
「そもそも」
 こう久志に述べた。
「その時点で」
「それでもいるけれどな」
「はい、人類の歴史においても」
「ローマ教皇でもいたな」
「ボニファティウス八世ですね」 
 順一はすぐにその教皇の名を挙げた。
「贅沢に美食、美女と富貴を愛し」
「悪事の限りを尽くしたな」
「権勢を追い求め謀略を駆使し」
「とんだ生臭坊主だな」
 久志が聞いてもだった。
「日本の歴史でそこまで酷いのは俺は知らないな」
「私もです」
 順一は自分もと答えた。
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