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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
継ぎ接ぎの絵描きと兄妹になる話
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ただひまわり畑が風に揺られているだけだ。

「…?」

振り向くと、そこには黄色い小屋があった。
少し小さめの、童話に出てそうなこぢんまりとした小屋だ。
煙突からはもくもくと煙が出ているし、誰かいるかもしれない。
そう思い僕は小屋の中へとお邪魔する。

「…。」

小屋の中には誰もいない。
ただ、気配はする。
ついさっきまでここに人が生活していた、そんな気配を感じた。
それに…なんだろう…。
懐かしいような…暖かいような…
何か、僕に近しい者のような気配も感じた。

「…!」

と、そろそろ小屋を出ようと思った時だ。
物陰から覗く何者かと目が合った。

「ひっ…!」
「!」

その子は怯え、キッチンへと逃げ込んでいく。
僕は後を追いかけると、その子は隅の方でその小さな体を縮こまらせ、麦わら帽子みたいな被り物を被った頭を抱えて蹲っていた。

「あの…キミは?」
「…。」
「あ、ごめんね。僕は葛城舞。大丈夫、悪い人じゃないよ。」
「…。」

優しく手を差し伸べると、その子はハッとした表情をし、

「葛城…舞、あなたが葛城舞様なんですね…?」
「うん。」

僕の名前を確かめ、その子はすっと立ち上がった。

「キミの名前は?」
「わ、わたしですか?」
「そ、キミ。」
「サ…サーヴァント、フォーリナー…。」

震えた声で自己紹介を始める。
そしてこれが、僕と彼女の初めての出会いだった。

「見ての通り…ゴッホです…。」


?

それから、

「美味しい?」
「は、はい!美味しいです何杯でもいけちゃいます!舞様はお料理上手なんですね…!」

ゴッホと名乗ったその女の子と共に夢の中の朝食を摂ることにした。
仲良くなるならまずは一緒にご飯を食べよう。
幸い冷蔵庫にはたくさん材料があったし、一応家主であろうゴッホちゃんからは好きに使っていいですと言われたので遠慮なくそうさせてもらった。

「様はいらないよ。フツーに舞とかでいいよ。」
「い、いえ!そんなの失礼過ぎます。わたしは、ゴッホはサーヴァントです…。サーヴァントはマスターの奴隷なのですから…呼び捨てなんてとんでもございません!」
「…?」
「い、いえ!なんでもないですすいません!!あ!肉じゃが頂きますね!はふっ!ふぉ!?ほぁえぇ!!!!ごほっ!ごっほお!?」
「ゴッホちゃん!?」

気になることを言ったけど、それを誤魔化すためにほくほくの肉じゃがを頬張ったゴッホちゃん。
案の定、あつあつのジャガイモは口内で暴れており僕は慌てて水を差し出した。

「…大丈夫?」
「ぜー、ぜー…ふ、ふふふ。ごほっ、ごっほぉって咳き込んでしまいました…えへへ…ゴッホジョーク…。」

震え
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