月様+詠さん×皆=董卓軍の誓い
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るよ。私の為に頑張ってくれている皆さんの隣で笑えるように、もっともっと強くなるよ。……だから、今日までは、うんと謝らせてくれないかな?」
「……この、バカ娘……」
「ごめんね、詠ちゃん。いつも迷惑かけて。心配させちゃって、ごめんね……!」
我慢しきれなくなったのか、ついには月様まで泣き出してしまった。二人して抱き合い、思いの丈を吐き出していく。長年積み重ねてきた思いのすべてを、ぶつけ合っていく。
……そして、十分ほどが経過した。
「……皆さん、今までご迷惑をおかけしました。私は、頑張ります」
玉座に腰掛ける月様。今までどおりの儚い容姿だが、そこにはさっきまでのような弱々しく情けない印象はない。まだ目が赤く、泣き腫らしたようではあったが、その瞳には確かに強い覚悟の焔が灯っている。
本当の『支配者』が、そこには君臨していた。
「今回の戦いは熾烈を極めます。多くの兵が死に、多くの血が流れるでしょう。もしかしたらこの中でも命を落とすものが出てしまうかもしれません」
『…………』
思わず、周囲を見渡す。そうだ。これは戦だ。いつ死んでもおかしくはない。大切仲間達に、二度と会えなくなる可能性だって、大いにあり得る。
俺達の様子に、月様はくすりと笑う。
「でも、私は信じます。皆さんが生き延び、必ず再会できるということを。たとえ離れ離れになってしまっても、いつの日かまた全員が集まれることを、私は一生懸命願います。……ですから、絶対に死なないでください。どんなことがあっても、絶対に無茶はしないでください。死んだ方がましなんて馬鹿な考えは持たずに、危険になったら全力で逃げてください。……お願い、します」
深く頭を下げる月様。その姿は統治者ではなく、一人の少女として。一人の人間として、大切な仲間達を思いやっている姿だった。
ソレは普通に考えれば綺麗事だ。戦に出る以上、全員が生きて帰れるなんて保証はどこにもない。絵空事、世迷言だと笑われてしまうような、綺麗な願い。……しかし、俺達は違った。
ニッと口元を吊り上げ、右手を天井に高々と突き上げると、腹の底から思いっきり叫び声を上げた。
『……応!!』
董卓軍は集結した。心を通わせ、どの軍にも負けない誓いを胸にし、さらに強固な絆を持って、連合軍に立ち向かう。……不思議と、先ほどまでのネガティブな感情が薄くなっているのに気づく。
気楽だな。絶体絶命未曽有の大ピンチだっていうのに、驚くほど気楽だ。
まぁ、でも……
「負ける気はしねぇな」
俺達には、守るべきものがあるのだから。
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