第105話『いざゆけ本戦』
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、予選にも出れねェ奴が本戦で活躍できると思ったら大間違いだぞ。身の程ッてのを教えてやる」
「それはありがたいですね。是非ともご教授願いたい」
宍倉の挑発を、終夜はさらりと受け流す。あくまで終夜は余裕の表情だ。ああいう顔をしている時は、何かしら策を講じている時だと知っている。
『では今から、魔導祭本戦第1試合を始めます。試合──開始!』
ジョーカーの合図と共に、ゴングの音が鳴り響く。瞬間、宍倉が動いた。
「そら、歯ァ食いしばッて受けてみろやァ!」
一直線に終夜へと駆け出す宍倉。その瞳は終夜をしっかりと捉え、その右手は鉄の鉤爪のようになっていた。恐らく、あれが彼の魔術だろう。怪我をしないとはいえ、あれをまともに喰らいたいとは思わない。
それなのに、終夜はその場から一歩も動こうとしなかった。
「部長……!」
「──そう焦らないでくださいよ」
「んぐッ……!?」
その様子にたまらず声をかけたところ、流れが変わった。
なんと宍倉の爪が終夜に当たる寸前、彼の身体がピクリとも動かなくなったのだ。
「何だァ……身体が、動かねェ……?!」
「すいませんね、ちょいと小細工させてもらいましたよ」
口だけは動く宍倉がそう叫ぶと、終夜は意地悪そうに笑みを浮かべた。
この現象は何度も見たことがある。彼の得意技、"麻痺"だ。
「このガキ……!」
「いや〜ダメージを防がれるって聞いて不安でしたけど、どうやら麻痺は通じるみたいで良かったですよ」
「ぐぎぎ……」
まだ中学生である終夜にしてやられて、元々怖い宍倉の顔がさらに険しくなった。
しかし、その身体は全く言うことを聞かず、指一本動かすことも叶わない。
「さて、その状態で俺の技をよけれますか? キツいやついきますよ?」
「……はッ、やれるもんならやッてみやがれ。耐えて痺れがとれりャ、こッちのモンだ!」
麻痺しているとはいえ、これではまだ戦闘不能とは言い難い。宍倉の闘志もまだ消えておらず、降参することもなさそうだ。
よって終夜がやることはただ一つ、この間にできる限りのダメージを与えること。逆に宍倉は、攻撃を耐えて痺れがとれるのを待つことが最善手だろう。
「なら遠慮なく。動かない相手に撃つのは気が引けますが、これは勝負なんでね」
「言ッてろ。すぐにやり返してやるよ」
遅れはとったものの、中学生の攻撃など余裕で耐えれるとの判断なのか、宍倉は随分と強気だ。カウンターを虎視眈々と狙っている。
しかし、そんな様子を見ても終夜は動じなかった。いつものように指鉄砲を構える。
「弾けろ、"冥雷砲"!!」
「ぐァァッ!!」
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