ムーの民
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追って部屋に立ち入る。
淡い光に目を覆い、一番に目に入ったのは茫然とするほむらの姿だった。
「ほむらちゃん。どうした?」
その質問に対し、珍しくほむらは指で答えた。彼女が指すのは、上の方。
真司はそれに従い、部屋の上の方を見上げる。
そして。
「うおおおおおお!?」
その光景に、思わず真司は尻餅を付いた。
青い光に照らされる、人の体。
集合体恐怖を引き起こすような、無数のカプセル。その一つ一つに、人の姿が収められていた。まるで虫の巣のような不気味な光景が、部屋一面に広がっていた。
「何だ、これ……?」
「これは……」
ほむらがおそるおそるといった歩調で、一番近くのカプセルに近づく。真司も彼女に続いてそのカプセルを覗き込んだ。
「人?」
だが、真司はあまりそれを見つめたくはなかった。
それは、人ではあるが、すでにその命を終えている。
ミイラ。
「うわああああああああああああ!」
「うるさい」
悲鳴を上げてしまった真司とは対照的に、ほむらは眉一つ動かさずにミイラを凝視している。ガラスに手を当て、一か所欠けているところを目撃している。
「おいおい、もしかして、ここのカプセル皆が……」
真司は両腕をさすりながら部屋を見上げる。
茶色の肌で眠り続ける人々。壁から天井に至るまで、広大な部屋にぎっしりと人々の寝床が詰まっていた。
「ムー大陸の人々、ということね」
ほむらが真司の言葉を引き継ぐ。
「多分、ここはムー大陸の避難所だったのね」
「これ、よくある冷凍保存ってやつか」
「正確にはコールドスリープね。でも……」
ほむらはカプセルをぐるっと見渡す。何千、何万と下らないカプセルは、それぞれが干からびた遺体が棺のように収められている。
「コールドスリープの装置が、一万二千年の間に故障した、ということかしら」
ほむらは、部屋の中央に設置されている装置に触れながら言った。石でできたような装置は、ほむらの手に全く反応せず、沈黙を貫いていた。
「ほむらちゃん、ずいぶんと詳しいな」
「こういう機械は、色々調べてるのよ。コールドスリープも、一時興味を持ったこともあったわ」
ほむらは、全く反応しない機械を手で弄ぶ。
「私達の文明でコールドスリープをしようとすれば、常に維持する人間が必要だけど、ムー大陸ではそれさえも必要ないみたいね。ただし、何らかのトラブル……それこそ、沈没していた大陸に入った魚だったり、微生物がたまたま回路を焼き切ったりしたせいで、一気にシステムがダウン……そんなところかしら」
「その通りだ」
その時、別の声に真司とほむらは振り返った。
部屋の入り口に、新たな人物がいたの
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