(俺+恋さん)÷民衆=ラーメン一杯二百元!
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が、奉天画檄の石突の部分にちょこんとくっついていた。誰かからの贈り物だろうか……?
俺の視線に気が付いたのか、恋さんは「あー……」と普段通りのスローモーな動きで口を開いた。……どこか穏と被ってしまうように思えたのは気のせいではあるまい。のんびりしているとこがマジでそっくり。……巨乳は穏健思考なのか?
「これ……気になる、の……?」
「えぇ、まぁ。自分で買ったんすか? ソレ」
「うぅん……。……ちんきゅーが、旅先の露店で買ってくれた……恋が、犬好きだからって……」
「げぇ……ネネのやつがぁ……?」
俺の脳裏に踏ん反り返ったフランダース主人公もどきの得意気な顔が浮き上がる。
ソイツの名前は陳宮。恋さんを異常なほど慕っているチビスケで、なぜか他人を見下しているよくわからない小娘だ。……なぜだろう。似たような奴が魏国にいるような気がしてならない。なんかこう……猫耳フード被ってそうな……気のせいか。
ちなみに真名は『音々音』である。なんと読みにくい名前だろうか。同音が三個続くとか普通に嫌がらせだと思う。親はどういう考えで名前を付けたのか小一時間ほど問い詰めたい。
俺の渋面に、恋さんはクスリと微笑む。
「雹霞は……ちんきゅーと、仲良しさん……」
「ないです。俺があんな生意気娘と仲が良いなんて、天地がひっくり返ってもあり得ません」
「……じゃあ、逆立ちすればいいの……?」
「どういうことですかそれは……」
おそらく『逆立ちすれば天地がひっくり返る』という屁理屈を言いたいのだろうが……恋さん、あなたに冗談は似合いませんよ?
「でも、雹霞はいつも……ちんきゅーと楽しそうに話してる……」
「誤解です。あのチビは詠さんとグルになって俺を虐めているだけですよ。嗜虐趣味の二人が客将を弄っているんです」
まぁあまりにひどいときは「俺、一応王族なんだけど!」という必殺技を使わせてもらってはいるが。あちらさん達もさすがに呉国と争う気は毛頭ないらしく、結構すんなりと矛先を収めてくれてはいる。……というか、どうで引っ込めるなら最初から刃を向けるなと心から言いたい。
「喧嘩するほど赤ガニって言うし……」
「仲が良いの間違いではないでしょうか」
なんだその想像してみると絵面的に愉快なことわざは。喧嘩をすればするほど甲殻類になるのか。それは御免こうむりたい。俺はできれば人間でいたいので。
「……二人とも仲が良いねぇ」
と、穏やかな声と共にラーメンをお盆いっぱいに抱えた店主さんがやってきた。独りだけで五人前のラーメンを運んでくるとは……さすがはプロだな。侮れない。今度ご教授願うか?
店主さんは不安定な体勢ながらもしっかりと料理を並べると、「ふぃー」と右肩を気怠そうに回した。
「
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