第二章
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暫くしてアフリカ系の中背の男が駆け込む様にして言ってきた。
「ロッキー、ロッキーじゃないか!」
「ワン!」
犬はその男を見て尻尾を振った、そして高齢なので犬としては動きは遅いがそれでも彼のところに駆け寄ってきた。
男は犬を抱き締めそのうえで飼い主が来たと保護している団体のスタッフから連絡が来てやって来たジェイクに言った。
「この子は山にいたんだな」
「ああ、そうだよ」
その通りだとだ、ジェイクは男に答えた。
「あんたがこいつの飼い主だな」
「ああ、こいつは独立記念日にうちから逃げたんだ」
「そんなめでたい日にかよ」
「花火の音に驚いてな」
「ああ、あの日は何処でも花火打ち上げるからな」
「庭にいたんだが慌てて家の庭のフェンスを飛び越えて」
「花火の音から逃げてか」
ジェイクも事情を察して述べた。
「そういうことだな」
「そうだったんだ、まさか山奥まで逃げているなんて」
男はジェイクと向かい合って話した。
「思わなかったよ、捜索願いは出したんだがな」
「そうだったんだな、あんたも探してたんだな」
「俺も飼い主だからな」
だからという返事だった。
「そうしていたよ、ただあんたが見付けてくれてよかった」
「たまたまさ、それよりもな」
「それよりも?」
「あんたがいい飼い主でよかった」
ジェイクは男に微笑んで言った。
「俺はそれで充分さ」
「そうなんだな」
「無責任な奴が捨てたと思っていたからな」
「俺がそんな奴じゃなくてか」
「よかったさ、じゃあこれからもな」
「ロッキーと一緒にいるな」
「雄だよな」
性別も確認した。
「そうだな」
「ああ、もう爺さんだ」
「その爺さんと仲良くな、ただもう花火にはな」
「注意するな」
このことは笑って応えた、そうしてだった。
ジェイクは迷い犬、ロッキーを連れて団体の施設を後にした男と手を振り合って別れた、そして家に帰って妻にことの次第を話した。すると妻も笑顔になった。
山奥にいた老犬 完
201・5・15
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