第一章
[2]次話
子猫を病院に連れて来た母猫
イスタンプールは猫が多い、トルコはイスラム教の国でありイスラム教ではコーランから猫を大事にする様に言っているからだ。
だがこの時その病院のスタッフ達は戸惑っていた。
「いや、ちょっとな」
「まさか猫が来るなんて」
「うちは人間の病院なのに」
「ニャ〜〜〜・・・・・・」
三毛猫が病院の扉の前にいた、そして。
その猫の横には茶色と黒の模様の子猫がいた、ここまで咥えて連れて来たのだ。見ればその子猫は弱っている、何故母猫が子猫を連れて来たのかは明らかだった。
「子供を助けて欲しい」
「それで連れて来たんだな」
「そうなんだな」
「それはわかるけれどな」
「うちはな」
どうしてもというのだ。
「獣医じゃないからな」
「どうしたものか」
「猫は診てないし」
「専門的な治療は」
「ニャ〜〜〜」
「ニャ〜〜〜・・・・・・」
母猫だけでなく子猫も鳴いた、その声は弱々しい。それを見て病院のスタッフ達は戸惑った。どうすべきか。
だがここで病院の院長が言った。
「ここはやろう」
「助けますか」
「子猫を助けますか」
「そうしますか」
「折角頼ってきたんだ、それに猫は大事にする」
院長はこうも言った。
「それはコーランにもある」
「はい、確かに」
「猫を大事にせよ」
「いじめてはいけないと」
「そのこともあるしな」
それ故にというのだ。
「助けよう、私達で出来るだけのことをして」
「助けますか」
「子猫を」
「そうしますか」
「それで知り合いに獣医がいるから」
獣医はさらに話した。
「専門的なことは彼にしてもらって」
「子猫を助けて」
「そしてですね」
「里親も探しますね」
「そうしよう」
こう言ってだった。
院長は自ら猫の母子を病院に入れた、すると母猫は子猫を咥えて嬉しそうに病院の中に入った。そうしてだった。
子猫の治療をした、幸い子猫は弱っていただけで獣医が手当てをして栄養注射をするとすぐに元気になった。
だが気付けば病院の前にだった。
子猫と同じ模様の子猫が三匹いた。
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