第伍話「あの日の炎」
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る。
それ以外は古達ちゃんの様子を窺うように、彼女の顔を見つめているだけだ。
い、いや、別に浮かれているとかそういうのではなく。そもそもこれはこの前のお礼なのであって、決してデートとかそういうアレじゃ……って、何を必死になっているんだ俺は。
「わ、私だって……その……男とケーキ屋くるのなんて、初めてだし……」
「そ、そうなの?」
「なんだよ。なんか文句あんのかよ?」
「いや……烈火中隊長とか、奢ってくれそうだなって」
「いや、流石の私でも、中隊長とこういう店来ようとは思わないぞ……」
「あ……確かに。あの人、スイーツより米と肉だもんなぁ」
「だろ〜?それに烈火中隊長、辛党だし」
「甘党はむしろ、フォイェン中隊長?いや、フォイェン中隊長の事だし、節制してるかも」
「わかる。フォイェン中隊長、真面目だもんね」
「となると……意外とカリム中隊長辺りかな?あの能力、アイス作るのに便利そうだし」
「カリム中隊長を何だと思ってんだよ〜。でも、アイス好きそうなのは分かるかも」
「でしょ?夏場は絶対困らないと思うんだよな〜」
そこからは、中隊長の話題をきっかけに、会話がどんどん進んでいった。
互いの上官や先輩消防官達の話、シスターの間で話題になっているもの、最近の失敗談など、他愛も無い話をしている間にケーキは減っていった。
「古達ちゃん、楽しそうだね」
「へ?」
「隊長達の事になると、目に見えてテンションが上がってるなぁと思って」
「だって、かっこいいじゃん!強くて、優しくて、頼もしくて……私もいつか、ああいう風になりたいなぁ……って」
「なるほど……」
ふと、気づいた。
そういや俺、古達ちゃんの事あんまり知らないな……。
所属する隊が別とはいえ、彼女も同期の消防官。
普段は迷惑を掛けてしまっているが、一緒に仕事をしていく上で、もう少し彼女の事を知っておいた方がいいのでは?
そんな考えから、俺は一つ質問を投げかけた。
「なあ古達ちゃん。古達ちゃんは、どうして消防官になったんだ?」
「消防官になった理由?うーん……」
古達ちゃんは、少し考え込むような仕草で唸ると、やがて困ったような笑みを漏らした。
「なんとなく、かなぁ」
「なんとなく……?」
「特に理由は無いんだ。ただ、たまたま第三世代能力者だったから、周りの皆に言われてこの道に進んだだけで……。第一を選んだのも、パパとママが聖陽教の教徒だから」
「周りに流されたってこと?」
「そうなっちゃうのかな〜……。ああ、でも皆の役に立ちたいって気持ちはホントだからな!?」
誰かの役に立ちたい、か。
確かに、この能力を誰かの為に使いたいって気持ちは俺にも分かる。
大いなる力には大いなる責任が伴うって、爺ちゃんも言っ
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