第伍話「あの日の炎」
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そう、消防官の本分は人命救助だ。
焔ビトを殺す事じゃないし、それ以外でもない……。
「興梠……?顔、怖いぞ」
「……ん?ああ、ごめん」
誤魔化すように手を振ると、俺は慌てて話題を変える。
「ところで古達ちゃん、この後の予定は?」
「予定?いや、特には……」
「だったらさ、今日にしない?この前の約束」
「約束……ああ!!スイーツバイキング!!」
こうして、見事に休日の予定を埋めることに成功した俺達は、約束していた駅前スイーツの店へと向かうのだった。
?
「それにしても、まさか消防庁の大会に侵入者とはな……」
「警備の目を掻い潜り、あれだけの事をしでかす輩です。いつまた我々の前に現れるか……」
「上に辿り着いた新人達を狙ってたみたいだからな。油断ならねぇ野郎だ」
「許せねぇ!次に出てきたら、俺の熱い拳でぶっ飛ばしてやるぜッ!せい!せい!せぇええーい!!」
「……心配が心配だな」
「ですね」
「せいっ?☆」
中隊長らがジョーカーについて話している傍で、バーンズは何やら考え込むように、顎に手を当てていた。
(52……何故お前が……。森羅日下部には、お前が目を付けるだけの何かがあるというのか?)
「大隊長、どうしたんですか?」
「む……」
カリムに呼ばれ、振り向くバーンズ。
中隊長達は怪訝そうな顔で、上官を見つめていた。
「お疲れでしたら、後は我々に任せて大隊長はお休みになられた方が……」
「いや、そういうわけではない」
自分を案じてくれている部下達に、無骨な顔を緩ませる。
「ただ、“ジョーカー”とは、随分と洒落た名前を名乗るものだと思ってな」
「は、はぁ……」
バーンズがかつて、名も無き黒髪の青年とコンビを組んでいた事が明かされるのは、もう暫く先の話である。
?
「ん〜〜〜!!美味ぇ〜〜〜!!」
ショートケーキにロールケーキ、タルトにムース、モンブラン。
皿に並べた色とりどりの甘味を、彼女は美味しそうに頬張り、感嘆の声を漏らす。
基本的に女の子は甘いものが好き……という噂は本当らしい。俺の不幸に巻き込んでるせいだとはいえ、普段はしかめっ面でいる事が多い古達ちゃんが、この瞬間はこんなにも笑顔だ。
「ん?どうした興梠?食べないなら私が全部取っちまうぞ〜?」
「へ?あ、いや……食べるよ。俺も甘い物、大好きだし」
「ふ〜ん……。ボーっとして、何考えてんだよ?」
バレてたか。
いや、隠すつもりがある訳でもないけどさ。
「その……女の子と2人っきりで出かけるなんて、初めてだから……何話していいのか、分かんなくて……」
店に着いてからずっと、必要な事しか話してない気がす
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