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イヌカレたのはホノオのネッコ
第伍話「あの日の炎」
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「──以上、報告を終わります」
「そうか……。ご苦労だった」

第1特殊消防隊庁舎、大聖堂。
俺と古達ちゃんは、昼間の新人大会で起きた事件に関する報告を終え、壇上を見上げる。

腕組みしながら仁王立ちしているのは、バーンズ大隊長。
他、カリム中隊長とフォイェン中隊長、烈火中隊長もその隣に並んでいる。

あの後、落下していった俺と古達ちゃんは、バーンズ大隊長に助けられた。

身体強化の能力を持つバーンズ大隊長が、俺と古達ちゃんを空中で抱えてそのまま着地。あまりのかっこよさに、古達ちゃん共々ため息が出たくらいだ。

ちなみにアーサーはというと、第8の隊長達が広げたシートへとダイブして行った。
第8の大隊長が『臆するなアーサー!!第8魂を見せろぉぉぉぉぉ!!』と叫んでいた姿がとても印象に残っている。

間違いない、あの人は絶対烈火中隊長と同じ(フィジカルとこんじょうでかいけつさせる)タイプだ。

あと、筋肉ダルマ呼ばわりされた先輩らしき女性隊員が、『誰がゴリラサイクロプスじゃいっ!!』とアーサーをシートから放り投げていた。
どうやら、第8は中々騒がしい部隊らしい。森羅もアーサーも、ここなら退屈しないだろう。

とまあ、何とか助かった俺達は今回の事件の当事者として、大隊長達への直接報告を果たしている所である。

「ジョーカーと名乗った黒ずくめの男は、指名手配される事になった。君達のお陰で、幸い死傷者は出ていない」
「2人とも、よくやったな」
「いえ、隊員達を救ったのは森羅です」
「それでも、全員生きて戻って来られたのは、お前らが協力できたからだ。上出来な上出来だろうよ」

そう言って、カリム中隊長はニカッと笑った。
普段は厳しい人に笑顔で褒められるの、なんだかこそばゆいな……。

「日頃の訓練の賜物だなッ!俺も鼻が高いぜッ☆」
「ありがとうございます!私、これからも頑張りますッ!!」

古達ちゃんも烈火中隊長に褒められて嬉しそうだ。

「2人とも、大会の後だ。今日はしっかり休め」
「「ありがとうございます!」」

バーンズ大隊長に敬礼……の代わりに合掌し、俺達は大聖堂を後にする。

報告を終えれば、今日一日は非番だ。
新宿の街をブラついて、ゆっくり羽を伸ばしてこよう。

「おつかれ、古達ちゃん」
「お前もな、興梠」

互いに労い合い、俺は伸びをしながら呟く。

「大会、結局中止になっちゃったな」
「チクショー、あのジョーカーとか言うやつ、次会ったら絶対とっ捕まえてやる」
「古達ちゃん、それは俺達消防官の仕事じゃないだろ?」
「そりゃそうだけど……」
「消防官の仕事は、あくまで人命救助。悪いやつ捕まえるのは皇国軍の管轄だ。そこん所は、履き違えるべきじゃないよ」

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