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レーヴァティン
第二百三話 騎士団と王国その五

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「けれどな」
「それでもですか」
「世の中そうした主張をする輩もいますか」
「陛下の世界では」
「そうなのですか」
「中にはな、けれど俺は違うからな」 
 久志自身はというのだ。
「治めていけばよくわかるさ」
「左様ですね」
「官吏は必要です」
「治める仕組みは」
「そして法も軍もです」
「全て必要です」
「そういったものがないとな」
 それこそというのだ。
「本当に力、暴力がある奴が好き勝手してな」
「それで、です」
「もう力のない者は」
「そうなりますが」
「そういうの全部なくして完全な自由の世界を築こうっていうんだよ」
 所謂アナーキズム、無政府主義である。十九世紀のロシアで誕生した思想でありバクーニン等が有名である。
「これがな」
「完全な自由ですか」
「自由と暴力は違いますが」
「そうした世界では暴力が全てです」
「他は何もありません」
「自由なぞ暴力の前に吹き飛びます」
「そうなるさ」
 法も何もかをなくせばというのだ。
「絶対な、そしてそんなことを言っていた奴がな」
「まず殺されますね」
「暴力を持った輩に」
「そうなりますね」
「その辺りの賊なりゴロツキなりにな」 
 そうした暴力を振るう輩にというのだ。
「あとこの世界にはモンスターもいるしな」
「獣も多いです」
「そうした連中に対して身を守る力がないなら」
「それならです」
「彼等の餌食になるだけです」
「自分達を守ってくれる軍もないとな」
 それこそというのだ。
「そうなるさ、若しそうなりたいならな」
 賊なりモンスターの餌食になりたいならというのだ。
「自分だけがな」
「そうなれ」
「そういうことですね」
「要するに」
「他の者を巻き込まず」
「そう思うさ、だから俺は法を定めてな」
 そうしてというのだ。
「軍も備えてだよ」
「官吏も用いる」
「治める仕組みを整え」
「そうして」
「ああ、そしてな」
 そのうえでというのだ。
「国を治めていくな」
「そして民と国を豊かにし」
「力を備え」
「この浮島を統一して」
「そのうえで、ですね」
「全部の力を合わせてな」
 自分達そして浮島のというのだ、英雄は自分だけでなく仲間達のことも思いながらそのうえで言った。
「そのうえでな」
「だからこそ官吏も用いる」
「そしてですね」
「明日もですね」
「仕事をするな」
 そうするというのだ。
「明日もそれからもな」
「宜しくお願いします」
「他にもお仕事はありますが」
「そちらもお願いします」
「これも政ですから」
「ああ、他の連中も頑張ってるしな」
 十二人の仲間達もというのだ、彼等も政の仕事をしているのだ。
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