第七十二話 追憶
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。ミレイ」
それ以降は私達は喋らずプサンが案内する廊下を突き進む。
「さて、ここが皆様にお見せしたかった場所です」
玉座の裏の隠し階段。
その最奥は青で塗りつぶされた巨大な天窓がある部屋だった。他にあるものは銀色の宝玉が宙に浮かんでいる台座だった。
そして床には巨大な穴が穿たれていた。
「なるほど。全て把握できました」
「なにがあったの?」
「ここは天空城が浮かぶのに必要な制御室だったわけです。しかしその制御に必要なゴールドオーブがあの穴から落っこちたことで安定性を失い、結果天空城は湖に沈んだというわけです」
「なんで穴をふさがなかったの?」
レックスの質問にプサンは少し口ごもってからバツが悪そうに言った。
「数百年前邪悪なるものに穴を穿たれてから、この城は既に持っていた力の大半を失っていたわけです。それを誤魔化してなんとか修復していたですが、この城の主がいなくなってから再び魔族の王が誕生したことの影響で穴が復活してしまい、そしてゴールドオーブが落ちてしまったのです」
「あれだけの力があるのに?」
「人に限らず魔物に限らず神に限らず。ただできることとできないことがあるという話です。さて過去の話をしていてもしょうがない。ゴールドオーブの位置を探し当てなくては」
プサンは台座に手を当て意識を集中させる。金色の光が台座に溢れたがすぐに輝きは収まった。
「やはり長い時が流れたのか完全に探し当てる事はできません。しかし……」
プサンはアベルの方に視線を向ける。
「あなたとの間にゴールドオーブとの縁を感じます。少々よろしいですかな?」
「はい」
アベルの体にプサンは手を触れる。
すると金色の輝きが溢れだし、制御室全てを埋め尽くした。光の中に何かが見える。
「もう少し解像度を上げます!」
金色の輝きが強くなる。
それと同時に私達がいる場所はもはや制御室ではなく古びた城になっていた。
墓の前にいる少年と少女は髪の色からすぐにわかる。幼き日のビアンカとアベルだ。
ビアンカが草むらから金色の宝玉を拾い上げ、アベルと二人で微笑みあった。
次に場面は切り替わる。
少年のアベルが金色の宝玉を手に幼獣のゲレゲレと走り回っている。
更に場面は切り替わる。
それは先程までのような微笑ましい場所などではない。薄暗い古代の遺跡だった。
屈強な戦士が醜悪な魔物達に嬲られているが、自分に与えられている苦痛などには戦士は意識を向けていない。
彼の視線の先には愛しい息子の姿があった。
散々嬲られた末に父親は灰になる。
息子の懐から零れ落ちた金色の宝玉は醜悪な魔物によって打ち砕かれた。
全てが夢だったのではないかと思うほど唐突に制御室へと私達は戻ってきた。
真っ先に私はアベルの顔を見る。
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