暁 〜小説投稿サイト〜
同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(4)〜構成邦軍は集う〜
[8/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
受けたようにヴァンフリートは【交戦星域】の避難拠点として活動していることを連中は知っています、ここを突く意義は0ではない」

「そうした話をしているのではない!!」
 セレブレッゼは苛立ちを露に手を振る。
「いいかね、半年後に計画されている攻略作戦の肝はわかっているか?
戦略単位の奇襲!!すなわち既存の宇宙軍輸送網の改革だ!!この基地はそのために艦隊総司令部と統合作戦本部!そして国防委員会の肝煎りで作られたのだぞ!!」
 フォルベックが口を挟もうとするのを手を振って遮った。
「ここで会戦が起きれば露見するに決まっている!!もはや放棄するに他がなかろう!!ここのデータを奪われるだけでどれだけの損害があるか上はわかっているのか!?」
 こんな騒ぎを起こすのならやるべきことがあるだろう!とセレブレッゼは呻いた。

 こんな男が上官か、とバドウ少佐は舌打ちを堪えようとし、堪えた。
 いやどうだろう、この男はその計画の準備を一手に担ってきた男ではないか、それをなんの未練もなくリスクと天秤にかけられる事こそこの兵站屋として中将まで上り詰めた男の特筆するべき才能なのかも知れない。

 フォルベックは閣下のおっしゃることがごもっともです、と頷くとバドウ少佐に視線を向けた
「バドウ少佐」

「はっ」

「総司令部と連絡を取る準備をしたい。少し話そう」
 セレブレッゼに一礼し、司令室を出る。

「どう思うかね、司令官閣下のことを」
 廊下を歩きながらフォルベックは試すようにバドウ少佐を見る。
「莫迦ではありません、いえ、むしろ切れ者ではあるのでしょう。ですが――」

「はっきり言え」

「”兵を扱う”者ではありません。正論は正論でしょう。しかし――」

「しかし?」

「あぁいえ、”奇襲を目的とした基地が露見するのであれば兵を集めるよりも放棄すべし”は正論、少なくとも検討するべき正論であったと思います。軍事戦略として私は考えもしませんでした、それは誤りです」

 フォルベックはにやりと笑い、三十をいまだ迎えていない少佐を見る。

「検討して貴様はどうする」

「却下しました。少なくとも政治的に致命的です」
 自由惑星同盟はバーラトの都合だけで動くわけではない。人口が集中していようと――いや、それだからこそ地方における政治活動は必死のそれであり同盟上院――弁務官達は様々な形で政府から利益を引き出そうとする。
 特に交戦星域では国の存亡を賭ける――ということが冗談では済まないものである。
 首都圏、中間星域のタカ派のみならず交戦星域のほぼ全ての勢力から――それこそ反戦派からすらも――支持を失うことになる。イゼルローン要塞とはそういう存在なのだ。

「その通りだ、であるからには如何に?次席作戦参謀とし
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ