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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(4)〜構成邦軍は集う〜
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烈な軍部粛清に危機を覚えた国家――大夏天民国やムサンダム憲政共和国と同じ次期である。
 であるが革命を経験したヴァンフリートと同じく銀河連邦軍を起源とし、ヴァンフリート以上に”我こそは銀河連邦軍の後継者”という気位も高い。
  そうしたこともあり、”伝統”にやかましいのは”旧連邦”よりも”離反者”の方が多い。

 アレクシス・ニュースロット=ビョークルンド中佐は鼻を鳴らして返答した。
「生憎だが史学や思想は専門外でね、要するにバーラト星系周辺への一極化が進み、我々は政治的にも軍事的にも同盟政府への注力が必要になった、ということだろう?」

「いや、もちろん自由惑星同盟の成り立ちにさしたる神話もない。アーレ・ハイネセンの船団は偉大な契機であり”グエンの開拓時代”を一種の政治的金字塔とするのは疑いの余地もないが、それとは別に戦争による“受難”を神話とすることも自然だとは思うがね」
 ニュースロット中佐は肩をすくめる。
「いずれにせよ、我々は共有すべきものを持っておくべきだ。多様性とはその前提の上にあるべきものだよ。それが個人に基づくものであれ共同体に基づくものであれ民主共和制、ハイネセン主義の同盟憲章は必要だ」

「そう、ハイネセン、ハイネセン主義!実に素晴らしき同盟市民の同盟市民たるを示す言葉!『自由、自主、自律、自尊』!
この世で最も急進的、暴力の扇動の為に使われた言葉を厳選したかのよう!」
 クレベールは楽しそうに弁舌を奮う。
「万人に対する個人の自由の承認はこの世で最も対立を扇動する結論であり価値観の共有の父権的強制を粉砕した時点で恒久的競争と敗者の存在を前提とします。故に、故にこそ!真の意味でこの自由という価値観を共有し平等になった我々は自由という価値観を共有するために、不自由を許容するという矛盾を呑み込み共同体を再形成し、そしてかつて不自由で抑圧的な組織であると糾弾した軍隊を組織し専制者に立ち向かう!何故なら"自由意志によって民主的な大義の共有により行われる市民権の為の戦"であるから!これが正義でなければ何だと言うのですか!戦争万歳!!」

 将校達の反応は様々であった、皮肉気に笑みを浮かべて音をたてないように拍手の真似をする者、意図的に興味の色を示さないようにするもの、そして――

「過程はどうであれ――」
 ぼふぅ、とムサンダム憲政共和国のユースフ・ターイー大佐はオリオン腕はおろかサジタリウス腕でも廃れた水煙管の煙を吐き出した。髯を蓄えた50代前半のベテランである。
「結論については皆が同じだろう、彼らには"苦い教訓"を学ばせねばならない。 土地を追い出され、権利を剥奪され、更には百年後も続くであろう屈辱になど、我々はもう耐えられぬのだ。この点については誰もが共有している筈だ。つまり一つ前進だな、クレベール
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