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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(4)〜構成邦軍は集う〜
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ゴー大佐はコーヒーをすすりながら肩をすくめる。
  小会議室に集っていた交戦星域諸邦の派遣部隊指揮官達は思い思いの姿勢で寛いでいる。

「その貿易品を危機管理の為にうまく扱うことです。我々に必要なのは彼らから輸入した敵意を飾り付け【大親征】で引き起こされたパラダイムシフトを認識し、舵を保つことですよ」
  アスターテ海兵隊のガストール・クレベール中佐、社会学者としての側面も持つ異色の英才である。

「大親征がそう転機になるような事か?俺たちの景気が悪くなっただけだろう」
 アルレスハイムのヨギヘス大佐が茶々を言れる。野戦で育った軍人であり兵からの信望も厚い。

「我々の団結自体、コルネリアス一世、かの大敵による【大親征】以前にはありえざる光景であると、そういう意味で言ったのですよ」
 クレベールはベレー帽を振り回しながら言った。
「過去、銀河連邦政府の崩壊からこっち、閉塞した状況下で我々は各々の基幹産業、生活文化の独立性における平等に移行し、相互に争うことすら多々ありました。自由惑星同盟は“同盟”の範疇で“生え抜きの加盟国”を生み出しジリジリと権限を拡大させてきましたが、それを飛躍させたのは間違いなく大親征です。かのカイザーと元帥二個小隊の軍靴は我々の住まう星々という果実の殻を磨り潰す擂粉木となり――サジタリウス腕という擂鉢の中でこねくり回され“自由惑星同盟という国家”の下で団結したのです」

 
「その結果、バーラトが肥大化したわけでもある」
 “ロヒアリム”のエオメル大佐は肩をすくめる、彼の率いる“ケレブラント航宙騎兵”は(大気圏仕様に改装された)防空用スパルタニアンを駆る構成邦派遣部隊唯一の航空戦力である。地上軍ではなく高価な精鋭宇宙軍を派遣するのはパランティアが往時より衰退しようと【交戦星域】の盟主であろうと示した威信であった。

「そして我々は衰えた、か」
 パランティアにおいては最悪の事件がこれであった。

「……なにかございますか?”サジタリウス準州”からの歴史を抱く伝統のエル・ファシル軍人殿」
 エオメル大佐が視線を向ける先に居るのはエル・ファシルのニュースロット中佐だった。

 パランティア連合国がケレブラント氏族連合は銀河連邦軍――ルドルフが討伐しようとした地方軍閥(海賊)と少なからぬ関わりを持ったものも含む――脱走部隊を祖とする。もっと直裁的にいうのであればアリアノン企業連合がその資本と”私生活にまで及ぶ兵站”で絡めとった者達である。
 サジタリウス準州時代からの最古参――いわゆる”旧連邦”といえばパランティア、エル・ファシル、ティアマト民国、そしてヴァンフリートであるがパランティアも厳密に言えばアリアノン共和国がそれでありケレブラントは”ルドルフからの離反者”――すなわち辺境軍閥鎮圧や苛
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