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レーヴァティン
第二百二話 命の重さをその十
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「可愛くて頭もいい娘で大人しいらしいが」
「犬は犬だな」
「何でもトイプードルは猟犬じゃ」
 プードルという種類の犬自体がそうである、水鳥等を捕まえる為の犬でありそのプードルを観賞用に小さくしたトイプードルも狩猟に使われたという。
「それでぜよ」
「いざとなれば強いな」
「身体は小さいがのう」
「ティーカップだと尚更だがな」
「やっぱり引っ張る力は強くて」
 それでというのだ。
「噛む力もぜよ」
「強いな」
「骨をあげたらバリバリと?み砕くそうぜよ」
「小さくても牙もあるしな」
「そうらしいぜよ」
「そうだ、だから小さな犬でもだ」
 例えそれがニキロや三キロの極めて小さなものでもだ。
「油断は出来ない」
「そうじゃのう」
「だから犬を捨てることはな」
「法で禁じたんじゃな」
「そもそも命を粗末にする奴はだ」
 生きものを平気で捨てる様な輩はというのだ、その命を。
「間違いなく碌な奴ではない」
「猫の話でもそうぜよ」
「そうだ、子供を育てることもな」
「出来る筈がないぜよ」
「命を平気で粗末にする奴に人が育てられるか」 
 英雄は強い声で言い切った。
「平気で切り捨てるに決まっている」
「自分の都合次第でのう」
「そうした奴を放っておくとだ」
 そうすればどうなるかというと。
「生きている限り害毒を垂れ流しだ」
「迷惑を撒き散らすぜよ」
「そうなる」
 絶対にというのだ。
「そうした奴もいる」
「残念なことじゃ」
「確かに残念だがな」
「そうした奴もおるってことじゃな」
「外道もな」
「それでその外道が罪を犯したら」
「その時はだ」
 まさにというのだ。
「容赦なくだ」
「死罪じゃな」
「そうする」
 こう当季に話した。
「必ずな」
「そうじゃな」
「そしてだ」
「命を大事にすることだ」
「何といっても」
「そこでわかる」
「大事にせん奴は屑ということじゃな」
 当季は右目を瞑って述べた。
「つまりは」
「そういうことだ、そのことも頭に入れつつ」
「治めていくのう」
「そうしていく」
「そうじゃな、しかし」
 ここでだ、当季は英雄にこう言った。
「そうした奴はどうしてもぜよ」
「世の中にいるな」
「それも世の中じゃな」
「そうだ」
 まさにとだ、英雄は答えた。
「完全な世界はない」
「人の世には」
「完全ま善も完全な悪もだ」
「ないぜよ」
「そうだ、人間自体がそうだからな」
 完全な善でも完全な悪でもないというのだ、このことはシェークスピアの作品でも描かれていることである。
「完全な世界もなく」
「そうした奴もじゃな」
「どうしてもだ」
「この世にいる」
「だが存在する限りだ」
 それならというのだ。

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