最終章:無限の可能性
第293話「平和に向かって」
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御札を取り出し、伝心による連絡を取る。
相手は澄紀率いる退魔士達だ。
街の人々との対話は専ら退魔士の人達に任せており、緋雪達は瓦礫の撤去と共に報告をする事で各街に派遣する流れになっている。
「じゃ、改めて次行こうか」
「次はさっきより規模が大きいみたいだよ」
伝心で連絡を送り、緋雪達は改めて次の場所へ向かう。
地道だが途方もない作業量にも決して辟易せず、ただ平和に向かって奔走していた。
―――そして、数年後……
「えっ?お兄ちゃんがもう転生しているの?」
復興から年月が経ち、地球やミッドチルダなど、大体の次元世界は落ち着いていた。
まだ辺境の地域や次元世界は傷痕が残っているが、それでもかなり復興しただろう。
そんな中、緋雪は優奈から優輝が既に転生し終わっていると話を聞いた。
「ええ。元々一人だったから何となくわかるのよ。多分、ミエラとルフィナも存在を感知ぐらいはしているんじゃないかしら?」
「でも、どこに……?」
「そこまでは分からないわね……」
転生したとはいえ、場所までは分からない。
飽くまで転生した事を感知出来たというだけだ。
「それに、記憶もあるか定かではないわ」
「そうなの?」
「前回がそうだったもの。今回も多分、ね」
「そっかぁ……」
かつての大戦で転生した際、ユウキは神としての記憶を完全に失っていた。
志導優輝として生まれてからようやく自覚出来た程に記憶は奥底に封じられる。
否、輪廻の環に入るために実際に記憶が抹消されているのだ。
神界の神としての“領域”があるからこそ、記憶を思い出せたに過ぎない。
「記憶はともかく、転生したのだとしたらどこにいるのかしらね……」
「さぁね。この世界と一言に言っても、まず次元世界が多いもの」
「さすがに別の平行世界に転生した訳じゃないよね?」
「それはないわ。他の世界から独立したこの世界から離れるには、当時の優輝にはあまりにもリスクが高いもの」
当時の優輝は明るく振る舞っていたものの、かなりギリギリだった。
転生すると言ってもそう単純なものではなく、転生前に完全消滅の危険もあった。
それなのに別の平行世界に流れるなど、そんな“可能性”を選ぶはずがない。
「それじゃあ、間違いなくこの世界のどこかに?」
「そうなるわ」
「……いつかは、探し出したいね」
ぽつりと呟く緋雪に、椿と葵も無言で同意する。
既に消滅してから数年が経っているのだ。
どこかにいるとわかっているのなら、探したいのも当然の心理だろう。
「それは、もう少し先になりそうね」
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