第十二幕その十一
[8]前話
「兄さんはもう二度とでしょ」
「日本の冬で充分だよ」
「そうよね」
「日本の冬はこたつに入ってね」
先生は笑ってサラにお話しました。
「そしてね」
「それでよね」
「どてらを着てね、お部屋にストーブを入れて」
「蜜柑を食べて過ごすのね」
「晩ご飯はお鍋でね」
「それでお風呂にも入って」
「そうして過ごすよ、けれどイギリスにはそうしたものはないからね」
こたつやどてらがというのです。
「お風呂だってね」
「日本のものとは違うから」
「シャワーで済ませる人も多いし」
「しかもあの寒さだから」
「もうね」
それこそというのです。
「今の僕にとってはね」
「日本の冬でなのね」
「十分だよ」
先生の心からの言葉です。
「本当にね」
「そういうことね」
「そしてね」
「日本の冬の中で」
「こたつに入って楽しみたいよ」
「こたつね」
「あれはいいよね」
「ええ、ただ兄さん本当に日本に馴染んだわね」
サラはこのことをしみじみと思いました。
「今だってね」
「馴染んでいるね」
「自覚しているわね」
「さっきお話した蛸も大好きになったしね」
「そうよね」
「本当にすっかり日本に馴染んだよ」
「もう馴染み過ぎて」
先生に笑って言うのでした。
「服装も仕草もね」
「日本人にかな」
「なっているわ」
こう言うのでした。
「本当にね」
「そこまでなんだね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「馴染み過ぎて」
それでというのです。
「怖い位よ」
「そうなんだ」
「ええ、そこまで馴染むなんてね」
「僕は日本が余程会っているのかな」
「そうみたいね、けれど私も蛸を食べたことがあって」
「美味しいね」
「ええ、だからね」
それでというのです。
「後でね」
「食べるんだね」
「そうするわ」
笑顔で言ってでした、そのうえで。
サラは先生と蛸のお話に興じました、それは怖いものをお話するものではなく美味しくて愛嬌があるものについてのものでした。
ドリトル先生と不思議な蛸 完
2021・1・11
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