3話 私、野球やりたいよ
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ながら後ろにもっていかれるも、その中にはしっかりと白球が収まっていた。
うん、久し振りだけど悪くない。
「珠姫さん、ボールちょうだい」
「う、うん」
ふふっ、みんなビックリしてる。でも息吹ちゃんはちょっと引いてるのかな?
二球目、三球目と投げていく。さて、少しくらいならこれでいけるかな?
「それじゃあ本気でいくね!」
「え!?」
私の言葉に珠姫さんは更に驚きを見せるが、私はセットポジションをとる。珠姫さんも表情を引き締め、ミットを構えた。
左膝を臍の高さにまで上げてタメを作り、大きく踏み込んで渾身の直球を投げ込む。さっきよりも数段威力の上がった直球を、珠姫さんはしっかりと受け止めてくれた。
捕った!!
「あ……ああ……思い出した。南 陽美選手……!?三年前の選手権大会で失点0の上、大会連続奪三振記録を大きく更新したリリーバー。剛速球とナックルフォークで並みいる打者を寄せ付けなかった大会屈指の好投手。あれから一切噂を聞かなかったから忘れてたよ……」
芳乃ちゃんは私の事知ってたんだ。さっき珠姫さんと出会った時みたいになってる。
私はコントロールが悪いからボールがあちこちに散らばるけど、その全てを珠姫さんは捕ってくれた。額に汗を浮かべながらも不適に笑っている。
「それじゃあ最後にナックルフォークお願い」
「うん、来い!」
ボールを示指と中指で挟んで回転が掛からない様にボールを離す。ボールは珠姫さんの元に辿り着くまでに不規則に揺れ、直前で下に沈んだ。
珠姫さんのミットから乾いた音がグラウンドに響く。
「……ありがとう、珠姫さん」
「うん。こんな凄い球受けるの初めてだよ……って南さん!?どうしたの?」
「ううん、大丈夫。大丈夫だけど??????」
私の頬に涙が伝わっていた。ああ……やっぱり野球は楽しいな。
みんなが私の元に駆け寄って、一様に心配そうに私の顔を覗き込む。
「私、野球やりたいよ。本当は辞めたくなんかなかったんだ。何で勝手に諦めちゃったのかな?」
溢れる涙が止まらない。今まで必死に目を逸らせてきたのに、もうそんなこと出来ないよ……。
「もう野球しないの?」
「ふぇ?」
珠姫さんの言葉に私は疑問符を浮かべた。
「ヨミちゃんも南さんも、気持ちの入った良い球だったよ」
「そうだよ!三人とも言いバッテリーになれるよ。やろやろ!」
珠姫さんの言葉に芳乃ちゃんが賛同する。
「でもここの野球部って……」
ヨミちゃんが言う通り、いくらしっかり整備されているとはいえ誰一人として姿を見せないグラウンドを見ると最悪の事も考えてしまう。
「私達はマネージャーするよ!四人も入ればとりあ
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