3話 私、野球やりたいよ
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をパスボールしてしまった場合、審判は避けきれない事がしばしば起こるのだ。
「公式戦パスボール ゼロ。信頼してるよ」
パスボール ゼロ!?何それ凄い!珠姫さんだったらもしかして……って、私はもう野球辞めたんだった。梁幽館に来た人達だって誰も……。
思い出されるのは梁幽館のセレクションでの事。
『あんたはストライクに投げる事も出来ないのっ!!?』
『ちゃんと捕れる所に投げてよ!!』
「投げていいの?……捕れるの?」
「投げられるの?硬球で」
考え事してる間に話は進んでいたみたい。
「……似たような球なら」
「投げて!きっと捕るから!」
あれ、何だか二人の空気が変わった?
「いくよ」
「こい」
ヨミちゃんは左足を後ろに引きながら両腕を振り被った。ワインドアップのモーションだ。ヨミちゃんの放った渾身の一球は??????息吹ちゃんの頭に向かって真っ直ぐ跳んで行く。
「危ないっ!!!」
私は思わず息吹ちゃんに叫んだ。息吹ちゃんは体を反らせるが間に合わない。
頭に直撃すると思った直後、ボールは大きく軌道を変え、ストライクゾーン外角低めを通過して珠姫さんのミットに収まった。
え??????!?
私の体に雷撃が駆け抜ける。私が驚いたのはヨミちゃんのカーブ……ではなく、初見であの球を捕った珠姫さんだ。
ヨミちゃんは続けてカーブを投げるが、珠姫さんは直前でワンバウンドしようとも、ミットからこぼす事は無かった。
ヨミちゃんがラスト一球と言った球まで全て捕ってみせた。
どうしよう……ドキドキが止まらない。もう自分を抑えられそうもない。
「ねえ珠姫さん……私の球も受けてくれないかな?」
「南さん?別に良いけど」
珠姫さんは私の変化に戸惑いながらも私のお願いを了承してくれた。
ヨミちゃんに場所を変わってもらい、私は土を慣らす。
懐かしいなぁ、この感覚……。
しゃがんだ珠姫さんを見ると中学時代に組んでいたキャッチャーを思い出した。
ふふっ。身体のサイズほどんど同じだ。何だかあの頃に戻ったみたい。
「芳乃ちゃん、ちょっと離れてて」
もし珠姫さんが捕れなかったら危ないからね。
「え、うん……」
何か言いたそうだったけど、芳乃ちゃんは私のお願いを聞いてくれた。これで二人に私のカッコ良いとこ見せられそう。
セットポジションから左足を軽く上げ、前へ踏み込みながら腕を真上から振り下ろした。
空気を割く音と共に駆ける白球は高めに浮き上がり珠姫さんに迫る。
「……っ!」
珠姫さんのミットはけたたましい音と立て
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