第一章
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内助の功
桃月梨沙は結婚して数年経つが夫の職場では全く話題にならない、むしろ夫の亜飛夢はよくこう言われた。
「えっ、お前結婚してたの」
「そうだったのかよ」
「何時の間に結婚していたんだ」
「そうだけれどな」
亜飛夢はいつも真顔で答えた、一直線の濃いしっかりした眉できりっとした流麗な目である。色白で面長であり黒髪を奇麗に整えている。サラリーマンだがスポーツマンの様に整った身体は一八一ある。
その彼がだ、こう言うのだった。
「指輪もしているけれどな」
「その指輪も目立たなくてな」
「どうもな」
「結婚しているとかな」
「思わなかったな」
「けれど結婚しているからな」
事実とだ、彼は話した。
「俺はな」
「そうなんだな」
「それで奥さんどんな人だ」
「結婚してるなら」
「それなら」
「今度来てくれ」
家にとだ、亜飛夢は一度同僚達に言った、それを受けてだった。
同僚達は彼に家に行った、すると彼の家は。
「えっ、一軒家か」
「何時の間に建てたんだ」
「お前まだ二十代だろ」
「それでどうしてなんだ」
「結婚してな」
亜飛夢は驚く同僚達に確かな声で答えた。
「奥さんの助けでな」
「一軒家か」
「二十代で家建てたのか」
「しかもこんな立派な家を」
白い壁と赤い屋根が奇麗な二階建ての家だ、庭も広く玄関も見事で駐車場もある。庭も駐車場も玄関もだった。
奇麗に掃除がされていた、同僚達は夜の灯りの中に見えるその庭や駐車場も玄関の奇麗さを見て言った。
「よく掃除されてるな」
「そうだな」
「ただいい家じゃないな」
「奇麗に掃除もされていてな」
「本当にいい家だな」
「結婚してな」
そしてとだ、亜飛夢はまた話した。
「建ったんだよ」
「ローンか?」
「これはかなりのローンだな」
「三十年は普通にいくよな」
「そうだな」
「そこは奥さんに言わない様に言われているからな」
亜飛夢はこのことにはこう言ってだ、そしてだった。
同僚達を家の中に案内した、すると見事な内装の家の中も整っていてだ。
彼等はこんな家を建てたのかと驚きを隠せない顔で見ていたが玄関には小柄であどけない顔の女性がいた。
黒髪は肩の長さにしていて付け根を跳ねさせている。二重の蒲鉾型の目で色白である。眉は一直線の感じで長めだ。色白で卵型の顔だ。
服装は非常に地味でありエプロンも黒の無地だ、同僚達はその彼女を見て亜飛夢に対して言った。
「この人がか」
「お前の奥さんか」
「そうなんだな」
「そうだよ」
返事は一言だった。
「五年前に結婚したんだ」
「五年前って入社して二年目か」
「その時に結婚していたんだな」
「もう結構経つな」
「いや、聞いて
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