第二章
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名前を伊藤光昭といった、鈴はその伊藤を見て即座に顔が赤くなった、そして。
彼には他の女の子が寄らなかったこともあって彼の傍にずっといた。そうしてあれこれと聞いていたが。
その聞いていた内容について津上は鈴に合コンの次の日の部活の時に言った。
「あの、ちょっとね」
「何ですか?」
「矢作さんの伊藤君への質問だけれど」
「何かありましたか?」
「どうでもいいけれどとか別にいいけれどとか最初に言ってだったね」
「聞いていたっていうんですか」
「視線を彼から逸らしてね」
そうしてだったというのだ。
「聞いてたよね」
「そうでしたか?」
「うん、もう見ていてね」
「どうだったんですか?」
「一言で言うと駄目過ぎたよ」
「駄目過ぎたって」
「だから、素直に聞けばいいんだよ」
こう鈴に言った。
「そうしたらね」
「別に彼に興味なかったですから」
ずっと彼の隣にいたがこう返した、視線は泳いでいる。
「私は」
「そう言うんだ」
「実際そうでしたから」
言いながらやはり目は泳いでいる。
「私は」
「そう言うならいいけれどね、ただね」
「ただっていいますと」
「デュエット曲入れて」
カラオケボックスなので歌うのは当然だが、というのだ。
「それで一緒に歌ってあげるわって言って彼と歌ったけれど」
「私デュエットも一人で歌えますんで」
「いや、それでもそのつもりだったよね」
二人で歌う為にというのだ。
「曲入れたよね」
「それは違います」
「そうかな、けれどね」
「それでもですか」
「うん、あまりああした態度はね」
鈴を見つつ言う、今は卓球自体の練習で二人は待っている間素振りをしつつ話している。
「見ていてわかるから」
「何がわかるんですか」
「もうそれは言わないけれど」
あえてだというのだ。
「兎に角素直になればいいと思うよ」
「私の何処が素直じゃないんですか」
「あくまでそう言うんだ」
「疚しいことないですから」
「そりゃ悪いことはしていないけれどね」
このことは事実だ、誰かを傷付けることもしていない。
「それはいいけれど」
「それでもですか」
「疚しいことない?」
「ないです」
ここでも鈴の目は視線を逸らしている。
「別に」
「そうなんだ」
「はい、これといって」
こう言ってだ、鈴は交代になって卓球台に向かった。そうしてそのうえで卓球そのものの練習に入った。それから。
鈴は伊藤と会う様になった、合コンの時に自分から言ってメールアドレスを交換してラインのやり取りもはじめたので。
会う様にもなった、そのことは津上も聞いたが。
鈴は自分ではこう言っていた。
「ただ何となくですよ」
「彼と会っているんだ」
「はい、光ちゃんと」
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