暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第292話「英雄達の帰還」
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けれど、共闘出来たのは楽しかったよ。……それと、すまなかったな。あの時、もっと早く二人に協力を求めていたら、あの結末にはならなかったかもしれない』

 優輝がムートとして唯一残していた後悔。
 それは、シュネーを止める際にオリヴィエとクラウスに協力を求めなかった事だ。
 その結果、ムートは死に、シュネーも二人によって討たれた。
 “もしこうしていれば”という後悔が、優輝にもあったのだ。

『これだけは、謝っておきたかった。でも、二人のおかげでこうしてベルカの文明は続いている。だから、ありがとう』

「……お礼を言われる程じゃないさ。僕らも、悔いはあった」

「皆まで言わないでください、クラウス。あの時の最善はあれしかなかったのです」

 各々、後悔はあった。
 それでも、後ろを向き続ける程、弱くもなかった。

『再び会えるか分からないけれど、またいつか“可能性”の先で会おう』

〈……以上です〉

 だからこそ、希望を持てるその挨拶を最後に、メッセージは終わった。

「また帰ってくるとわかっているからこそ、悲しみはありません。ですが……」

「ここで再会出来ないのは、少し寂しくはあるね」

 そう言って、二人は苦笑いする。

「じゃあ、聞かせてくれるかい?シュネー、君の……そしてムートの軌跡を」

「うん。色々あるからね。まずは―――」

 寂しくあっても、それ以上に再会の喜びがある。
 故に、オリヴィエとクラウスは緋雪による話を楽しんだ。









「……あ……」

「オリヴィエ?」

 そこからどれほど時間が経ったのか。
 ふと気づいたように、オリヴィエが声を上げる。

「……どうやら、お別れのようだね」

「そのようですね」

 見れば、オリヴィエとクラウスから燐光のようなものが漏れ出ている。
 それを見て、緋雪もすぐに察する。

「……消えちゃうの?」

「そうよ。結構持った方だけどね」

 緋雪も話自体は既に優奈から聞いている。
 遠くない内に来るのは分かっていた。だから、すんなりとその現実を受け入れる。

「さよならだね。二人共……」

「ああ。でも、良かったよ。シュネーの話は、とても幸せそうだった」

「はい。あの悲しい結末があったからこそ、今の貴女が幸せそうで良かったです」

 わかり切った別れだ。
 むしろ、再び会えた今が異常だ。
 だからこそ、別れを惜しまない。

「どうかお元気で。幸せになってください」

「僕らは、それを祈っているよ」

「うん。……ありがとう、二人共」

 その会話を最後に、二人は還って行った。

「……帰るわよ。結構長居しちゃったしね」


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