最終章:無限の可能性
第292話「英雄達の帰還」
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さらに時間を見て夕日を活かした術式も仕込まれている。
そして、天廻によってプリエール・グレーヌも全快とまでいかなくとも回復した。
これによって、全ての世界に司と祈梨の声が届く。
『……聞こえますか?私の声が、聞こえますか?』
“祈り”が声となり、全ての次元世界を跨いで響く。
『遍く全ての世界、全ての生命よ。戦いは終わりました。皆さんの尽力によって、私達は戦いに勝利しました』
司と、そして祈梨の声が全ての世界に浸透する。
『繰り返します。戦いは終わりました。私達の勝利です!』
声は意思を“祈り”によって伝えたモノだ。
そのため、言語の壁を越えて全ての生命に言葉が伝わる。
戦いは終わったと、自分達が勝利したのだと。
『ありがとう。古今東西の英雄達。そして、全世界の皆さん。皆さんの“意志”があったからこそ、勝てました。本当に、本当にありがとう……!』
今更になって、勝利できた事に涙が出てくる司。
それは声にも表れ、だからこそより声が本当だと伝わった。
「………っ……!」
“祈り”を終え、司はその場で嗚咽を漏らす。
実際に声にして伝えたからこそ、実感した戦いの終焉。
その事実に、安堵を抑えられなくなったのだ。
「ゆっくり、ゆっくりと落ち着いてください。貴女達は本当に頑張りましたから」
そんな司を、祈梨は優しく後ろから抱きしめ、慰める。
祈梨にとって司は子供のようなものだ。
実際、遠い子孫であるからこそ、優しく接していた。
「……さて……」
「お姉ちゃん、どうしたの?」
司の声は、当然優奈達にも聞こえていた。
優奈は声を聞いた後、少し考え事をしていた。
「緋雪。……そうね、ちょっとお別れをしようと思ってね」
「お別れ……?」
その言葉を聞いて、緋雪はつい嫌な予感がした。
優輝が一時とはいえ消滅したのだ。そんな考えを持つのもおかしくはない。
「ちょっと、ベルカの方に跳ぶわよ」
「え、ちょっ……!?」
言うや否や、優奈は緋雪を連れてベルカへと転移する。
「急にここに連れてきて、何するの?」
「司と祈梨、そして世界そのものの後押しによって英雄や神々は召喚されたわ。でも、それはいつまでも続くものではないの」
転移した先で、優奈は飛行しながら緋雪に言葉を紡ぐ。
「それって……」
「いずれ、召喚された者は還っていくわ。神ならば人々の目につかない領域へ、過去の英雄ならば世界に刻まれた記録にね」
「……消えるんだね」
そう。神々ならばいざ知らず、既に死んだ英雄達は消える。
別世界において“英霊の座”とも呼ばれるような
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