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渦巻く滄海 紅き空 【下】
四十七 囚われ
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その上、飛段の呪いでアスマに化けている影分身が同じ傷を負ったのも、秘かにナルトが幻術をかけていたに他ならない。
飛段の隣で腕を組みながら、あたかも飛段の術が効いてアスマが傷を負っているように幻術で見せかけていただけだ。

つまり、飛段はアスマではなく、兎の命を刈り取ったに過ぎない。



アスマに化けた影分身が死んだように見せかけるのも、ナルトにとっては些細なものだ。
なんせ、かつて波の国でも、己の影分身を変化させることで、再不斬と白の死を偽造したくらいである。カカシの写輪眼をも騙した技術がそう易々と看破されることはない。

そして再不斬にわざわざ首切り包丁を投げつけさせたのも、ナルトの計算のうちだ。
わざと木ノ葉へ連行させるには、武器は手元にないほうが警戒されにくい。
また『暁』と敵対している姿を見せることで、再不斬に対する木ノ葉の忍びの不信感をも薄めるのも目的のひとつであった。


木ノ葉の忍びの味方をしていると見せかけ、首切り包丁を引き離すことでスムーズに連行されるよう、仕向けた本人は飛段と角都をうまく言い包め、(飛段は散々、ナルトから離れるのを渋っていたが)不死コンビと別れる。
そして、飛段・角都と立ち去った後で無事に拘束され、木ノ葉の里へ連行された再不斬を認めると、すぐさま白と合流したのである。



アスマを吸い込んだ白の鏡の術中へと。


白自身が鏡の中を移動できるならば、他の対象を鏡に閉じ込めることも可能だろう、と白が編み出した術。いわば、鏡の中の結界である。

つまり此処は四方を鏡で囲まれているのではなく、元々、鏡の中の空間なのだ。


此処へ入れるのは、術者である白と白が認めた相手であるナルト、そして囚われている対象だけである。

呪いで死なせた兎を悲しむどころか鍋にするという、見た目に反して豪胆な白の返答に苦笑しつつ、囚われの対象であるアスマを確認する。
飛段の呪いで死んだように見せかけたアスマを、ナルトは改めて見下ろした。


飛段の血の円陣を崩して、アスマを助けることも可能だったが、ナルトはあえてそうしなかった。
飛段の能力をシカマルに認識させ、分析させる為である。
師の死が無ければ本気で『暁』と戦おうという姿勢を取らないだろうという考えだ。




その為に、アスマを利用する。
相変わらず自分勝手で自己満足な己に自嘲しながら、ナルトは、白き蝶の鱗粉を吸って眠らせた三代目火影の息子を眺めた。


「さて、」

眠ったアスマから視線を外し、ナルトは白の術である鏡の結界から抜け出した。
薄れゆく霧の彼方を見遣る。

霧隠れの術の効果が無くなり、晴れゆく火ノ国。
再不斬が今、囚われの身となっている木ノ葉の里がある方角を、ナルトは双眸
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