第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第6話 金属対決・別章:前編
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だった。そして、それに対して部屋にいた者は的確なツッコミを入れるのであった。
その者の容姿は銀色の髪に整った顔立ち、そして出で立ちはスーツ姿であったのだ。無論頭には大きな耳が生えている辺り、すぐに玉兎だと分かる。
スーツ姿、それを見て勇美は思う所を口にする。
「いえ、あなたはスーツ着てるからやっぱり先生でしょう?」
「いや、それは教師に対する偏見ってものよ……」
そして、勇美のボケに対してまたしてもそのスーツ玉兎は的確なツッコミを入れるのであった。その振る舞いは手慣れたものである。
そんなやり取りをしながら、勇美は改めてその玉兎をまじまじと見つめる。
少女がスーツを纏っているが為に、非常に男前でいて、それでいて可憐という絶妙な二律背反がそこにはあったのである。
そして、勇美は考える。これは先生と言うよりも、寧ろ……。
「ヅカ?」
「月に宝塚なんてあってたまるか」
勇美はそう結論付けたのに対して、またも玉兎はピンポイントでツッコミをくわえる。そして、今度はその玉兎から話を切り出すのであった。
「……いい加減本題に入りましょう。あなたはこの塔の奪還に来たのですよね?」
「ええ。話が早くて助かります」
それに対して、勇美もさらりと答えを返すのだった。そして、こういう人に対して自分は取っ付き易いのだと感じていた。
それは、依姫の影響が強いのだと勇美は感じるのだった。加えて母親のような二言三言余計かつ高圧的な発言をする者と対称的であるとも。
だから、勇美はこの玉兎に好感を覚えるのだった。この人とはきっといい友達になれるだろうと。
しかし、今は異変解決の為に行動している最中なのである。だから、勇美は解決に奮闘される側で、目の前の玉兎は退治される側にあるのだ。
だが、そうであっても礼儀というのは大切である。寧ろ、弾幕ごっこをやる上では必要というものであろう。
なので、勇美はこう切り出す事にしたのだった。
「何にしても、まずお互いに名乗っておかないといけませんよね。私は黒銀勇美です」
その勇美の律儀な態度に、玉兎は思わず頬を緩めた。
「紳士的な子ね。さすがは依姫さんの所で育っただけの事はあるわね。それじゃあ、私も名乗らない訳にはいけませんよね」
そう言うと、その玉兎はオホンと咳払いをして一呼吸置いた後に名乗りをあげる。
「私は『クガネ』と言います。以後お見知りおきを」
それに加えて、彼女は深々とお辞儀をしたのであった。やはり、この玉兎──クガネは落ち着き払っていて紳士的な性格のようだ。
そして、彼女の名前は片仮名での表記であったのだ。これは彼女が今も月で行動しているが故の事であろう。
以前に出会った玉兎の清蘭や鈴瑚は漢字の表記であったが、それは地上で行動をするにあたり、それに合わせて名
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