最終章:無限の可能性
第291話「永遠の別れじゃない」
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の中心であった優輝が消える。
そんな事実が、帝は許せなかった。
否、当然ながら帝だけでない。誰もがその事実を許せなかった。
「いう事は尤もだ。……だけど、誰もこれが“結末”とは言っていないぞ?」
「は……?」
帝に胸倉を掴まれたまま、優輝は答える。
「僕が選んだ“最善”は僕だけが望むモノじゃない。……皆にとっての“最善”だ。おかげで、あらゆる場面で綱渡りになったが……“掴んだ”」
「何を言って……」
「僕らが迎える“結末”はここじゃない。もっと先だ。そうだろう?優奈」
優輝の言葉によって、優奈へと視線が集中する。
注目された優奈は溜息を吐きつつ、優輝へと返答する。
「……よく言うわ。こんな賭けの連続なんて、どんな大博打よ」
「だからこそ、成し遂げた先のモノは大きい」
「うっさい。我ながら周りを振り回して……フォローはしないわよ」
憎まれ口を叩きながらも、優奈の顔に悲壮感はない。
「知ってたのか?この事を……」
「途中で気づいた、が正しいわね。……ただ、同じ立場なら私も考え付いただろうと思うと……やっぱり、私と優輝が元々一つだっただけあるわ」
優奈も優輝から聞かされていた訳じゃない。
だが、途中で優輝の状態に気づき、そこから何をする気なのかを理解したのだ。
それを説明するために、優奈は改めて皆に向き直る。
「消滅する結果を変える方法があるわ。条件は大まかに二つ。一つは代償を支払う程の力。もう一つは“結果”に干渉出来る“性質”である事」
「それって……」
前者はともかく、後者には心当たりがあった。
“可能性の性質”。それならば“結果”にも干渉出来る。
「でも、変えられる本人……今回の場合は優輝ね。優輝自身が“結果”を変える事は出来ない。飽くまで他の人が行う必要があるわ」
「そこで、優奈の出番って訳だ。やり方は見ていただろう?」
優奈もまた“可能性の性質”であり、条件を満たしている。
ここまでの道程を、優輝は“可能性の性質”と“道を示すもの”によって無理矢理辿ってきたのだ。
だからこその“賭けの連続”だった。
「お姉ちゃん……」
「優奈ちゃん……」
「……やってやるわよ。最高で、最善の“結末”を、掴もうじゃない」
理力が渦巻く。
だが、なけなしの理力では足りない。
「余った理力を貸してちょうだい!」
故に、足りない分は天廻達が供給する。
ここまで来てただ見ている訳もなく、天廻達は何も言わずに協力した。
「言っておくけど、これで上手く行くかは賭けよ!」
「百も承知だ」
「なら、受け取りなさい!」
―――
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