第二章
[8]前話
「ニャア」
「ニャア〜〜〜」
「ナア〜〜」
ローザはキングと名付けられた息子、クイーンと名付けられた娘のどちらもだった。
いつも傍にいて抱き締めて身体を舐めてあげて優しく育てていた、クリスはその猫達を見てジェンに話した。
「一つ条件がいるな」
「その条件は」
「母親と子供達を一緒に家族に迎える」
こうジェンに話した。
「それが条件だな」
「そうですね、こんなに子供達を大事にして」
「そして母親に懐いてるからな」
「苦しい状況で産んだからですね」
「そうだな、だからな」
「それじゃあ」
「その条件で探すな」
クリスは笑って言った、そうしてだった。
実際に母子三匹一緒に引き取って欲しいという条件で里親を募集した、母子一緒となると応募者も限られたがそれでもだった。
広いアメリカではそれでもと言う人が出て来た、その人は団体に来て何度も三匹と会ってそうしてだった。
ジェンともクリスとも話してそのうえで三匹を引き取った、その時に二人に言った。
「これだけ絆が強いですから」
「だからか」
「それで、ですね」
「ずっと一緒に見てもらいます」
こう二人に話した。
「我が家で」
「それで頼むな」
「弱ったその中で産まれて一緒に元気になって育ってきました」
「ずっと一緒にいて抱き締められてな」
「すっかり懐いていますから」
「その絆が永遠でいられる様にします」
こう言ってだった、その人は三匹を一緒に自宅に連れて帰った。そのことを見届けてだった。
クリスはジェンに笑顔で話した。
「世の中捨てたものじゃないな」
「そうですね、猫の親子の絆は人間と同じだけ強くて」
「それを受け入れてくれる人もいるからな」
「世の中も決してです」
「捨てたものじゃないな」
「ええ、本当にそうですね」
クリスに笑顔で応えた、そうして以後定期的にその人からローザとキング、クイーンの状態を飼い主の人からメールで連絡を受けた。画像にいる彼等はいつも元気でレスキューズにいた時の様に身体を寄せ合って愛し合っていた。
母子猫の絆 完
2021・4・21
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