第二章
[8]前話
「治療はいいとしまして」
「俺達が飼います」
「私達の家族にします」
夫婦は獣医に同時に即座に答えた。
「ですから安心して下さい」
「治療費も出しますので」
「そうですか、では」
「はい、完治したら連絡して下さい」
「すぐに迎えに来ます」
「わかりました、では私達はあの子を治療します」
このままそうするというのだ。
「そして完治しましたら」
「その時にですね」
「私達にですね」
「連絡します、その時をお待ち下さい」
こう話してだった。
夫婦は犬を施設に預けてそのうえで今は自宅に帰ってそうして自分達の仕事をして子供達を育ててだった。
そのうえで犬を待った、すると暫く経ってだった。
施設から連絡があった、二人がすぐに施設に向かうと。
そこには見違えるまでに元気になった犬がいた、犬は毛が戻り目は開いていた。白い毛で黒い目そして明るい表情の元気そうなマスチフだった。
犬は夫婦を見ると彼等に尻尾を振って鳴いてきた。
「ワンワン」
「すっかり元気になって」
「完治したんですね」
「はい、この通りです」
獣医は二人に笑顔で話した。
「完治しました、体力もです」
「戻りましたね」
「そうなりましたね」
「そうです、ではこれからは」
「俺達が家に迎えて」
「一緒に暮らします」
二人の返事は変わらなかった。
「ではこれから」
「一緒に」
「そう言って頂いて何よりです、ただ性別は雄とわかりましたが名前は決まっていません」
獣医は二人に笑ってこうも話した。
「お名前は家族になる貴方達が付けてくれますか」
「俺達がですか」
「そうしていいですか」
「家族ですから」
だからだというのだ。
「是非」
「じゃあ白い毛なのでパウダーにします」
夫が答えた。
「そうします」
「いいわね、貴方はこれからパウダーよ」
妻は夫のその言葉を聞いて頷いて犬に言った。
「それでいいわね」
「ワンワン」
犬、パウダーもその言葉に尻尾を振って頷いて応えた、夫婦はその彼を笑顔で抱き締めて。
そのうえで家に連れて帰った、夫婦に助けられたパウダーは今度は彼等の家族になった。施設のスタッフの人達は後に夫婦から笑顔で広場を家族と共に遊ぶパウダーの動画をメールで送られた。そして彼等も笑顔になった。
歩けなくなっていた犬 完
2021・4・21
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