第一章
[2]次話
老猫の相棒
黒に近いダークブラウンの毛を持つ雄猫フーニーは十六歳になる。もう老猫と言っていい年齢である。
長年一緒に暮らしていた飼い主が亡くなり飼い主の子供も孫も猫アレルギーを持っているので飼えず新しい飼い主を探してもらう為に保護施設に預けられた。
「どうかです」
「ええ、新しい飼い主をですね」
「見付けて下さい」
メリーランド州ブレントウッドの動物保護団体アリーキャットレスキューのスタッフにこう言って預けてだった。
飼い主の家族はフーニーのことを頼んだ、この時に。
かなり古くなっている猫のぬいぐるみも一緒だった、飼い主の家族はこう話した。
「この子がずっと持っているおもちゃで」
「それで、ですか」
「ここでも。それで新しい飼い主さんのところでも」
「そのぬいぐるみはですね」
「宜しくお願いします」
「わかりました」
スタッフの人も頷いて答えた、そしてだった。
フーニーはぬいぐるみと一緒に施設に入った、実際にフーニーはずっとぬいぐるみと一緒で寝る時も抱き締めていた。
その彼を見ているとだった。
「彼だけの時はぬいぐるみに話し掛けていますね」
「そうしていますね」
「人にも慣れてますし」
「僕達にもそうですし」
「落ち着いていますし」
「前の飼い主さんに随分可愛がってもらってましたね」
「だったら新しい飼い主さんにも」
是非可愛がってもらおう、こう話してだった。
里親を探した、そしてこの時にだった。
色々飼ってもらう条件も書いた、その中には。
「ぬいぐるみも絶対ですね」
「これは忘れたらいけないですね」
「ぬいぐるみも引き取ってもらいましょう」
「フーニーと一緒に」
「これは絶対ですよ」
こう話して条件の中に入れた、そして。
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