アイングラッド編
追想編
黒の剣士 01
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げに悟ったが、それをいたわるような言葉が出てこない自分の貧弱な語彙がうらめしかった。
その代わりに、テーブルの上で握り締められたキリトの右手を、無意識のうちに両手でぎゅっと包み込んでいた。
「キリトさんは、いい人です。あたしを、助けてくれたもん」
レイが驚いたように片眉をつりあげ、キリトもそんな顔をしたが、すぐに微笑むと、言った。
「……俺が慰められちゃったな。ありがとう、シリカ」
途端に胸がキュッと苦しくなり、何故か心拍数も上がり始める。……これって、もしかして……?
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Side レイ
食事が終わり、宿の部屋に入るとキリトと意見交換をし始める。
「で、問題のホシとは接触出来たはいいが、どうすんだ?」
「何も考えなしに脅かしたのかよ!?びびって明日付けてこなかったらどうすんだよ……」
「それはないない。ああいうタイプの犯罪者は舐められたらやり返す。現実世界のヤンキー共と同じだ」
「そんなものなのか?」
「そそ。だからきっと問題ないと思うよ。おそらく。多分。maybe……」
「すごいあやふやな上に、段々と確信が無くなってるじゃねえか!?」
「気にすんな。完璧な人間なんてこの世にはいないのさ」
「なんでそんなに達観してんだよ!」
何時もの応酬をしていると、不意にドアをノックする音が聞こえた。
キリトが応えてドアを開けると、訪問者はシリカだった。
「ええと、その、――47層のことを聞いておきたいと思って!」
「ああ、いいよ。階下に行く?」
「いえ、あの――貴重な情報を誰かに聞かれたら大変ですし、……よかったら、お部屋で……」
………何ですと?
「え……いや……それは、そうなんだけど……レイ、いいか?」
「構わないが……」
そう答えつつ、ウインドウを操作し、温かい飲み物をオブジェクト化する。
2人に差し出すと、自分も一口飲む。
「きれい……。それは何ですか?」
「《ミラージュ・スフィア》っていうアイテムだよ」
キリトが出したのは青い水晶のような球体。それのメニューウインドウを操作すると、球体の上に円形のホログラフィックが出現した。
47層の説明はキリトに任せることにして、俺はキリトとじゃれついていた時から感じていた、そして今はドアの向こうで聞き耳をたてているプレイヤーに意識を移した。
キリト
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